居残り補習授業オフライン#162
健康小話「サプリ塾式腸活」


〜イントロダクション〜
2008年から2009年にかけてサプリ塾でシンバイオティクスに関しての長めの解説を行いました。これから流行るぞ!と。

それから遅れること10年以上、ようやくシンバイオティクスの知名度と地位が上がってきました。

その背景には「腸活」たる行為の台頭があります。要は腸内環境を整えることで、健康的になりましょうということで、腸内環境こそが健康や精神を操っているというのが、サプリ塾よりも2〜3周遅れで知られるようになってきた訳です。


〜イントロダクション2〜
腸活ブームに乗っかった人々が期待する腸内環境改善の主要な効果は、免疫力アップや美容効果になるでしょう。これらに次いで、メンタルヘルスといった所でしょうか。

我々の意識は頭脳の産物と理解されがちですが、腸内細菌や脳以外の臓器から多大な影響を受けるため、意思や意識というのは腸内細菌を含めた身体全体の細胞からの信号の総和であると表現することができます。

故に一見脳機能由来のみと思われていた意思や意識に変化をもたらしたいのであれば、腸内細菌叢を改善する必要があるのです。



〜イントロダクション3〜
腸活!×腸活!とブームではありますが、元々、便の状態が絶好調の人は何か新しい習慣を採り入れる必要性は低いと思われます。

便を見るまでもなく、帝王切開で産まれて来た人、粉ミルクが主体だった人、ミュータンス菌を避けるために口移しを避けて育てられた人の腸内細菌バリエーションは貧相であると予想されます。このような人や実際に便や健康状態が悪い人は腸活に励む価値が大いにあるでしょう。

つまり、誰もが同じエネルギーを腸活に注ぐのではなく、労力は人それぞれとなるのです。

腸内細菌叢は幼少期に決定付けられるので、後からいくら頑張っても、根治的に改編されることはありませんが、毎日、腸活を続けることで、擬似的に良い腸内環境を維持することができ、やめるとまた元に戻ります

一定の労力と継続性が必要なため、乳酸菌がーとか、超まで届くとか、シンバイオティクスなどのお手軽な手段が紹介されますが、サプリ塾的に「やれやれ・・・優先順位が異なるぜ!」という話を今回はしてみます。



「優先順位1位:消活」
栄養素は小腸で吸収されるが、食べたものが小腸へ至るまでに、小腸の絨毛から吸収される形態へと変化を遂げていない限り、基本的には吸収・・・身体へ取り込まれることはない。

この問題はタンパク質で語ると簡単である。タンパク質は最初に胃でペプシンに十分にさらされないと、後々の消化過程におけるタンパク質分解酵素を受けても分解が進まず、そのまま小腸へ達しても小腸では分子の大きなタンパク質は分解することも吸収することもできない。

これを理解していれば、エビデンス信者やライフハッカーなどの「最新のエビデンスではプロテイン100gが効果的なので、僕はプロテインを毎回100g飲んでますという話も生温い目で見ることができるはずだ。

同様に複合炭水化物は咀嚼中に唾液と十分に反応させる必要があり、脂質も多くの消化過程を経ることになる。

つまり、咀嚼を含めた消化活動が十全に機能していない限り、消化不能の粗大ごみを腸へ送ることとなり、その状態で乳酸菌がー、酪酸菌がー、などと楽ちんでお洒落でテクニカルな腸活を行ったところで焼け石に水なのである。



「優先順位1位:リーキーガット克服」
例えば、タンパク質は最小単位の遊離アミノ酸状態、なんしはジペプチド、トリペプチドの形にまで分解されないと基本的には腸管を通過して血中へ到達することはできない。アミノ酸はアミノ酸トランスポーターを介して絨毛から、ペプチドは絨毛のみならず、タイトジャンクションと呼ばれる腸管細胞のつなぎ目から吸収される。

リーキーガット症候群とはこのタイトジャンクションが緩んでしまった状態のことである。通常では通り抜けることのできない大きな分子が通過してしまい、タンパク質そのものが血中へ到達してしまうので、これに対して免疫が攻撃してしまい、アレルギーなどを引き起こしてしまう。ちなみにイギリスでは未だにリーキーガット症候群が公式には認められていないそうだが、日本で完全に解明、証明されている。

また、長引く下痢などに代表される腸管で起こる負の炎症ループの問題も大きい。このいずれかの問題を抱える人が「腸活」、「腸まで届く乳酸菌生活」などとのたまっても、先に大問題を解決せんことにはまるで意味がない訳だ。負の炎症ループ緩和やリーキガット改善に関しては意外にお手軽で継続しやすい方法が存在する。

まず、