(written in 2024/04/08)

サプリマスターが解決 #207

Q:最近、YOUTUBEなどで、「EAAは不要」とか「EAAは無駄」とか主張する有名人を複数見かけるのですが、どうでしょうか?

今回はEAAが最も輝く場面から、EAAの利点を考えてみます。

EAA不要論者の多くは「体重の2倍のグラム数のタンパク質を得るべきで、そのためにプロテインを利用するのが賢く、一部のアミノ酸しか含まれていない少量のEAAを摂取するのは無駄。」と思っているのではないでしょうか。

そもそも、体重の2倍のグラム数(体重70kgなら1日あたり140gのタンパク質)を摂らないといけないという理屈はどこから出てきたかを理解していない人が多いようです。



それは代謝の観点から見た生理学から導き出されます。

我々の体内では筋分解やオートファジーが勃発していますが、分解された筋肉由来、あるいはその他組織由来のタンパク質は全てが酸化される訳ではなく、安静時であれば、その多くがリサイクルされて新しいタンパク質組織として生まれ変わります。つまり、極度のカロリー不足や激しい運動中でない場合、分解された筋肉がエネルギーとして酸化される量は少ないと考えられます。

一方、トレーニング中は筋肉のエネルギー化が亢進しやすく、尿などの代謝物(窒素)などから、多くの筋組織が消費されていることが確認され、その総量から、概ねトレーニングを行う者は体重×2倍のg数のタンパク質が必要とされているのです。また、激しくかつ強度の高いトレーニングや運動時間が長い場合などはより多くの筋肉が分解されてエネルギーとして失われることが解っています。

今日では運動前から運動中にかけて、EAAやBCAAの利用がメジャーとなりましたが、この行為の最大の意義は運動中の筋分解を強く抑制することができる点です。EAAやBCAAによって、筋分解を抑制することができれば、体重×2倍のg数のタンパク質を摂る必要がありません。

そして、その筋分解抑制のほとんどを担っているのがロイシンなのです。

我々の細胞膜は全てのアミノ酸濃度を一々モニタリングして、筋合成活性スイッチをオンにするか判断しているのではなく、ほぼロイシンだけを見て判断しているのです(※)。

※ ロイシルtRNA合成酵素:ロイシンセンサーとして働く




haleo_hyperdriveEAAEAAを最も有名にしたのが「トレーニング前に6gのEAAを摂取することで、運動最中から運動直後の筋合成を著しく高めることができる。」という実験結果です。

普通であれば、運動中や運動直後は筋合成より筋分解が上回っており、これをいち早く解決するために、運動直後に栄養補給すべきと考えられていました。ですが、運動後、速やかに栄養補給したとしても、それが血中に現れて、生理活性を示すには大きなタイムラグが発生します。

そこで、運動前にEAAを補給して血中にEAAを満たすことによって、運動中の筋分解を抑制できるだけでなく、筋合成を活性化できるという有効性が見出されました。従来であれば、運動直後に栄養補給をしても、筋合成が筋分解を上回るには60分かかりましたが、運動前のEAA補給によって運動直後から筋合成を大きく活性化することが可能になったのです。

この現象の大半はロイシンによるものなので、BCAAでも似たような結果になるはずですが、筋合成が著しく活性化している時に、筋肉の材料であるEAAが血中に存在していないのは非常に勿体ないので、運動前や運動直後はEAAがベストであると考えられます。



ホエイの特性から考えて運動の60分前にホエイプロテインを摂取することで、EAA効果の代替にならないかと考えてしまいますが、「生理活性を得るために特異的に血中ロイシン濃度を高める」と言った要点を満たしづらく、また、消化器官での血流とエネルギー消費の発生によるQOT(トレーニングの質)低下から考えるとEAAに及ばないことが理解できます。

トレーニング中の代謝を主軸とした生理学的観点から、運動前や直後はEAA(あるいはペプチド)が最良であると結論付けることができます。

我々の細胞膜が「血中アミノ酸濃度2倍で筋合成ドン!」とか「絶対に体重の2〜3倍!」と全然言っていないことを理解していれば、EAAやBCAAを強く否定したり、ディスったりはできないはずです。

#3へ続く



【関連】
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