(2021年6月13日に書かれた話です)

〜イントロダクション〜
磁気ネックレスやエレキバン、RAKUWAって、実際どうなの?と素朴な疑問、疑念を持つ方も多いことでしょう。

私も百貨店時代に、メーカーから頂いたものを色々と試したりしましたが、全く体感のない口でした。メカニズムの有無云々の前に、端っから信じていないという負のプラシーボが大きく影響したか、後述する体質の影響が大きかったのかも知れません。

同様に以前、アンダーアーマーから頂いたリカバリー系のウェアも全く体感がありませんでした。これも製品のせいではなく、遺伝的な体質のせいか、元々、寝付き並びに睡眠の質が高かったせいかも知れません。


一方、頂き物のネックレスを友人にあげた所、肩こりがかなりましになったと絶賛されたエピソードがあります(もちろん私は友人は暗示にかかりやすい素直なタイプなんだなぁと思った)。

また、某フィットネスショップの店長はいつもColantotteをあちこちに巻いており、年月を空けて再会する度に発せられる「それって効果あるの?」という私の問いに「効果あるっすよ!」と答えます。

はてさて?



〜作用機序の謎〜
結論を申しますと、磁石系には効果があるかも知れません。

まず、電磁石を用いた交流磁場(動磁場)によって血流の増加を起こすことができることが知られています。これは交流磁場そのものの効果ではなく、それによって発生する誘導電流が細胞膜の電位に変化を起こすことが起因です。その変化が感覚神経から自律神経へと伝わり、自律神経中枢からのインパルスによって(※)血管が拡張すると考えられています。

※ 最終的な指令物質としてはアセチルコリンの分泌?

交流磁場を利用した治療器具には一定の効果があると認められていますが、問題は誘導電流を起こさない静磁場を発生させる磁石を用いたアイテムに効果があるかということです。



一般的な磁石テープや磁石ネックレスと同程度の磁力を用いてマウスで実験した所、磁石を近づけた部位の血流増加と温度上昇が起こることが確認されています。

このメカニズムとして、血管という局所的な空間においては磁石による磁場でも血管内皮細胞による一酸化窒素合成が活性化され、その結果、血管内の一酸化窒素が増加することで血管が拡張されたと推察されています。

つまり、強くはないが直付けに近い磁石による静磁場は血管内皮細胞におけるNOs(一酸化窒素合成酵素※)の活性を高め、一酸化窒素合成増大による血流の改善と体温上昇を起こす可能性を持つ訳です。

それだけでも、疲労感や凝りの緩和に役立ちそうですが、老廃物や乳酸などの局所的な蓄積が起こっている場合、それらの除去が捗ることで疲労回復や疲労予防をもたらす可能性を持ちます。



〜個人差の謎〜
近年では平常時並びに運動時における血流と酸素供給能力に関して、ACE遺伝子の多型が大きく影響を及ぼすことが解っています。

ACE遺伝子I/Iタイプの人は容易には血管が収縮しにくく、血流量を一定に保ちやすいために、酸素供給が滞りにくく、極めて高い持久力を示します。ひょっとしたら、このような生まれつき血流が悪くなりにくいタイプの人(並びにI/Dタイプも?)は、謎のネックレスの体感がない、または極めて低いのかも知れません。

一方、血管収縮力が高いタイプのACE遺伝子D/Dタイプの人は、謎のアイテムに対して体感度が高いのかも知れません。

Ex:ACE遺伝子「速筋体質かどうか」


また、遺伝的体質や鍛錬度の影響でAT(※)の値が低い人、並びに乳酸が発生しやすい体質の人や乳酸代謝が遅い人は、疲労が蓄積しやすいと考えることができます。このような人は微弱でも血流を局所的に増大できるアイテムを身につけることで、疲労物質除去による疲労感緩和効果を得られる可能性もあります。

※ 無酸素性作業閾値(AT)とは?




〜まとめ〜
ということで、体質によっては効果を実感しやすいかも知れませんし、厳然たるメカニズムが存在しても、全く体感がない人もいることでしょう。

ともあれ、例え効果があったとしても、「外部に身につけるだけ」という極めてお手軽な手法は、「疲労しないように鍛え上げる」という物理的アプローチや「積極的&選択的栄養摂取」による細胞レベルでの生理学的アプローチよりも、効果や優先順位は下位になるため、あくまでも多角的アプローチにおける手段の一つとして採用するのが吉です。

角さんの力だすきの如く、これさえあればOKとはならないので注意が必要です。

後編へ続く



【関連】
◯◯が痛い!「磁気ネックレスの機密」 前編
◯◯が痛い!「磁気ネックレスの機密」 後編

〇〇が痛い!-まとめ

ニューケアグルタミンの機密

ファイナルETBの機密-前向き・抗鬱編
ファイナルETBの機密-餓狼・性欲編

DHEAの機密

エキストラサバイブの機密-Part.1
エキストラサバイブの機密-Part.2
エキストラサバイブの機密-Part.3

エキストラアミノアシッドの機密-Part.1
エキストラアミノアシッドの機密-Part.2-前編
エキストラアミノアシッドの機密-Part.2-後編
エキストラアミノアシッドの機密-Part.3