〜カロリー収支法の欠点〜

「ナッツダイエットは痩せますか?」・・・このような質問に対してはある程度までは体重を減らせるだろうと答えることができる。

ナッツだけ、あるいはナッツを主体としたダイエットは何故、体重を減らせる可能性が高いのか?

そのメカニズムに対する私の見解はナッツダイエットの「ローカーボ・低インシュリン効果」ではない。



皆さんも興味があれば、休日などにお試し頂きたい実験がある。

それは朝食はナッツだけで済ませ、それから寝るまで食べないという日を設けて、夕方以降の便を観察して欲しい。排泄された物体は、ほとんどナッツの形を保っているはずである。

私の場合、朝にナッツを食べて、昼抜きで過ごすと、腸が短いのか、夕方には原形を留めたナッツがウゾウゾと出てくるのだ。私は胃腸がすこぶる丈夫な方だが、ナッツ類などは食欲に任せて良く噛まずに食べてしまうせいか、ほとんど消化されずに出てくるようだ。

つまり、ナッツは脂質主体なので非常に高カロリーな食品であるが、充分な咀嚼を行わずに飲み込んだ場合、ナッツが持つ莫大なカロリーを摂り込むことができない為、食べ方によっては低カロリー食品になってしまうのだ。

ナッツは低インシュリン・ローカーボの手段としても、低カロリー食品としても、優れているかも知れないが、減量のために飛びつくのは早計かも知れない。余計なお節介になるが、ナッツ類は木が溜め込んだ栄養を凝縮する都合上、非常にベクれ易い上に、その収穫・貯蔵・輸送といった過程から、アフラトキシン発生のリスクがある食品なのだ。嗜好品としてたまに食べる分には良いかも知れないが、主食にするには一考する必要があるかも知れない。

ちなみに、昔、通っていたジムで売られていた有名どころの海外メーカーのマルチビタミンを飲んだことがあったが、これも「コロン♪」と、そのままの姿で出てきたことがある。例え胃腸が強くとも、欧米人とは胃袋の大きさと胃酸の量が段違いなので、仕方ないことかも知れない。

「俺のMVMはコスパ最強」と自慢されても、ウンコの際にコロリン♪と出てくるような「Time release! Only 1tabret! 」とか何とか謳っているでっかい海外製のタブレットでは全く意味をなさないわけだ。



ナッツを例に挙げたり、自身での実験を推奨するまでもなく、我々は既に未消化食品を目にしているはずだ。

すなわち、つぶつぶコーンである。

コーンも咀嚼が足らなければ、そのままの姿で便をカラフルに彩ることはご存じのはずだ。

コーンもまた脂質が多く、非常にカロリーと栄養価が高いパワフルな食品であるが、食べ方や調理法、加工法によって、実質的なカロリーが大きく変動する。コーンを粉にしたコーンミールやコーンを潰したコーンスープは当然ながら正味カロリーは高い。もちろん、コーンを一旦砕いてから固めたコーンフレークもカロリーは高めとなる。

そして、丸かじりや冷凍コーンなど、そのままの形で食べる形態は咀嚼度によっては、非常にローカロリーとなるだろう。

コーンにはもう一つ、正味カロリーを「読めなくする」要因が存在する。

それがコーンに含まれる豊富な食物繊維である。

とりわけ、食品の消化吸収を遅くし、各種栄養素の正味吸収量をも抑制する水溶性食物繊維も多く含んでいるという特徴を持つため、この脂質が豊富なコーンを良く噛んで食べたとしても、1本当たり200kcal前後というデータ通りのカロリーを得られることはないだろう。



clear以上のように、カタログスペック上は高カロリー食品であっても、咀嚼、調理、加工、形態、含有成分によって吸収率が大きく変動する食品が存在し、それらは食べ方によっては途端に低カロリー食品へと豹変する。

そもそも、食品のカロリーとはそれが持つ熱量であり、その数値はそれを燃やしたときのエネルギーでしかない。各食品が持つカロリーをそのまま人体が吸収できるケースは例え胃腸が丈夫で強い人間であっても不可能である。

ここに、個人個人の各種ホルモン分泌特性やホルモン感受性などの要因が加わると、ますます、カロリー収支だけに腐心するだけでは最大の結果が得られないことは明白である事が分かる。

#2へ続く



Ex:
ファイナルブロックの食物繊維群と繊維様物質

消化吸収促進法-応用実践編

消化吸収促進法-基礎編

消化吸収促進法-基礎編2

フィットネス一年生 栄養編 #1
プロテイン-0 プロローグ

【関連】
確信に至るアレコレ

フィットネスの全てにつながる基礎知識 #1
フィットネスの全てにつながる基礎知識 #2