素養を知るなら母を観よ-21
「フィットネス関連遺伝子の多型」-2
前回は肥満に関する通称ダイエット遺伝子について紹介しましたが、今回は運動能力に影響を与えると言われている遺伝子を私の検査結果を例に紹介します。
「フィットネス関連遺伝子の多型」-2
前回は肥満に関する通称ダイエット遺伝子について紹介しましたが、今回は運動能力に影響を与えると言われている遺伝子を私の検査結果を例に紹介します。
瞬発系パワー系:並
〜スプリントに『非常に向いている』ではなかった〜
私の場合、これまでの運動経験から推察すると、
・速筋の割合の方が多い
・血管収縮型はD/Dタイプ
と思っていた。
しかし、実際は
ACTN3遺伝子(速筋と遅筋の割合):R/X型:並
速筋と遅筋のバランスが良く、瞬発力系と持久力系のどちらにも適応可能。
ACE遺伝子(持久力):I/D型:並
血管拡張、血液供給量は標準的。標準的持久力。
PPARGC1A(持久系運動のトレーニング効率):G/G:良
ミトコンドリアの増殖能力が高い為、トレーニングの継続によって、スムーズにミトコンドリアが増え、比較的短期間で有酸素系代謝が改善される。
と言った具合に、中距離型、JOJOのスタンドで言うところの近距離パワータイプではなく、オールマイティタイプだという。
「スプリントと私」
中学、高校(幽霊部員)共に水泳部だったが、運動会などのリレー(200m)で、中学の時も高校の時も3人抜きをしたことがある。高校の二クラス合同の体育では陸上短距離専門の友人に次いで、その他の陸上部を抑え100m走と幅跳びの記録が良かった。
・・・という経験から、速筋体質で「非常に向いている」と思っていたが、そうではなかった。非常に向いているタイプは、ACTN3遺伝子がR/R型かつACE遺伝がD/D型であり、この二つの遺伝子だけで判断すると、私のスプリンターとしての才能は完全に「並〜並以下」となる。
しかしながら、現在も走ると言う行為がそれなりにできるのは、四肢の末端重量が極めて軽い、つまり、前腕とふくらはぎが細い為に無駄なモーメントが少なく、回転効率と運動効率が良かったという影響が大きいのだろう。
そして、もちろん、筋肉を鍛え、肥大、強化するトレーニングの継続といった各種のトレーニングの影響が大きい。
つまり、フィジカル要素が強い無慈悲な競技であっても、延長される表現には遺伝子以外の多種多様な要因が関わるため、高い空間認識能力や四肢のコントロール能力と言った高度技術の獲得を必要とする球技を始めとした技術系の競技能力を決定付けられる遺伝子はないといっても良い。
「ウエイトトレーニングと私」
私の遺伝子検査結果を素直に受け止めた場合、いわゆる10回×5セット教に入信すれば、ドラクエのキャラのようにサクサクとレベルが上がるはずである。
しかしながら、その絵に描いた様なお洒落なトレーニングをすることはできなかった。そもそも、筋肉を刺激できるウエイトで10回こなすことはできず、また、同じウエイトで2セット目をこなすのもきつかった為、ACE:D/Dを想定したトレーニングプログラムを自身に課していた。
そもそも、ハムストリングスなどはアイキャリアンレッグカールもフレックスのシングルカールも「フルスタック+加重」で出来てしまう体質だったので、恐らく、筋力や速筋うんぬんにはACTN3遺伝子とACE遺伝以外にも、筋力と速筋比率に影響を与える遺伝子があるのかも知れない
「メチル化と表現型」
我々人類は性染色体を除けば父と母から半々の遺伝情報を受け継ぐ。例えば、ACTN3遺伝子を父からR、母からXと受け継いだR/X型は、速筋と遅筋の比率が半々くらいと予測されるが、実際に予測通り翻訳されて表現されるかどうかは解らない。
・父親、あるいは母親の遺伝子が強く発現する。
・生後環境によるメチル化によって、最終的な表現・・・3Dプリンタ的には出力される作品が変化する
といった要因によって、遺伝子検査だけでは向き不向きを判断することはできない。また、2〜3の遺伝子を調べたところで、トレーニングや食生活の指針を立てるのは難しい。
ACTN3遺伝子がR/X型かつACE遺伝がI/D型の私がその遺伝型に最も適した10回×5セット法で筋肥大できないケースがあるように、他の要因を考慮した上で、自分の感触を確かめながら試行錯誤を伴うメニューとプログラム構築が必要となる。
検査結果初見では「スプリンターとしては『並〜並以下』」という結果にがっかりしたが、色々と考察を巡らす内に、「向いてないという要素から考えると逆に速いやん!努力と知識ってスゲー!」、「なら、400とか800に出てみるか?」何て思うようになった。
(100mを選んだのは練習が比較的楽かつ短時間だからであり、今後も400や800は無理・・・)
#29へ続く
Ex:
β3ADR遺伝子変異タイプの内臓脂肪対策
負荷強度に依存しないトレーニング処方の多様化
【関連】
己を知れ #序
己を知れ #1
己を知れ #2
己を知れ #3
己を知れ #4
己を知れ #5
己を知れ #6
己を知れ #7
己を知れ #8「素養を知るなら母を観よ?-1」
己を知れ #9「素養を知るなら母を観よ?-2」
己を知れ #10「素養を知るなら母を観よ?-3」
己を知れ #11「素養を知るなら母を観よ?-4」
己を知れ #12「素養を知るなら母を観よ?-5」
己を知れ #13「素養を知るなら母を観よ?-6」
己を知れ #14「素養を知るなら母を観よ?-7」
己を知れ #15「素養を知るなら母を観よ?-8」
己を知れ #16「素養を知るなら母を観よ?-9」
己を知れ #17「素養を知るなら母を観よ?-10」
己を知れ #18「素養を知るなら母を観よ?-11」
己を知れ #19「素養を知るなら母を観よ?-12」
己を知れ #20「素養を知るなら母を観よ?-13」
己を知れ #21「素養を知るなら母を観よ?-14」
己を知れ #22「素養を知るなら母を観よ?-15」
己を知れ #23「素養を知るなら母を観よ?-16」
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己を知れ #25「素養を知るなら母を観よ?-18」
己を知れ #26「素養を知るなら母を観よ?-19」
己を知れ #27「素養を知るなら母を観よ?-20」
己を知れ #28「素養を知るなら母を観よ?-21」
己を知れ #29「素養を知るなら母を観よ?-22」
プロトタイプ「己を知れ」
〜スプリントに『非常に向いている』ではなかった〜
私の場合、これまでの運動経験から推察すると、
・速筋の割合の方が多い
・血管収縮型はD/Dタイプ
と思っていた。
しかし、実際は
ACTN3遺伝子(速筋と遅筋の割合):R/X型:並
速筋と遅筋のバランスが良く、瞬発力系と持久力系のどちらにも適応可能。
ACE遺伝子(持久力):I/D型:並
血管拡張、血液供給量は標準的。標準的持久力。
PPARGC1A(持久系運動のトレーニング効率):G/G:良
ミトコンドリアの増殖能力が高い為、トレーニングの継続によって、スムーズにミトコンドリアが増え、比較的短期間で有酸素系代謝が改善される。
と言った具合に、中距離型、JOJOのスタンドで言うところの近距離パワータイプではなく、オールマイティタイプだという。
「スプリントと私」
中学、高校(幽霊部員)共に水泳部だったが、運動会などのリレー(200m)で、中学の時も高校の時も3人抜きをしたことがある。高校の二クラス合同の体育では陸上短距離専門の友人に次いで、その他の陸上部を抑え100m走と幅跳びの記録が良かった。
・・・という経験から、速筋体質で「非常に向いている」と思っていたが、そうではなかった。非常に向いているタイプは、ACTN3遺伝子がR/R型かつACE遺伝がD/D型であり、この二つの遺伝子だけで判断すると、私のスプリンターとしての才能は完全に「並〜並以下」となる。
しかしながら、現在も走ると言う行為がそれなりにできるのは、四肢の末端重量が極めて軽い、つまり、前腕とふくらはぎが細い為に無駄なモーメントが少なく、回転効率と運動効率が良かったという影響が大きいのだろう。
そして、もちろん、筋肉を鍛え、肥大、強化するトレーニングの継続といった各種のトレーニングの影響が大きい。
つまり、フィジカル要素が強い無慈悲な競技であっても、延長される表現には遺伝子以外の多種多様な要因が関わるため、高い空間認識能力や四肢のコントロール能力と言った高度技術の獲得を必要とする球技を始めとした技術系の競技能力を決定付けられる遺伝子はないといっても良い。
「ウエイトトレーニングと私」
私の遺伝子検査結果を素直に受け止めた場合、いわゆる10回×5セット教に入信すれば、ドラクエのキャラのようにサクサクとレベルが上がるはずである。
しかしながら、その絵に描いた様なお洒落なトレーニングをすることはできなかった。そもそも、筋肉を刺激できるウエイトで10回こなすことはできず、また、同じウエイトで2セット目をこなすのもきつかった為、ACE:D/Dを想定したトレーニングプログラムを自身に課していた。
そもそも、ハムストリングスなどはアイキャリアンレッグカールもフレックスのシングルカールも「フルスタック+加重」で出来てしまう体質だったので、恐らく、筋力や速筋うんぬんにはACTN3遺伝子とACE遺伝以外にも、筋力と速筋比率に影響を与える遺伝子があるのかも知れない
「メチル化と表現型」
我々人類は性染色体を除けば父と母から半々の遺伝情報を受け継ぐ。例えば、ACTN3遺伝子を父からR、母からXと受け継いだR/X型は、速筋と遅筋の比率が半々くらいと予測されるが、実際に予測通り翻訳されて表現されるかどうかは解らない。
・父親、あるいは母親の遺伝子が強く発現する。
・生後環境によるメチル化によって、最終的な表現・・・3Dプリンタ的には出力される作品が変化する
といった要因によって、遺伝子検査だけでは向き不向きを判断することはできない。また、2〜3の遺伝子を調べたところで、トレーニングや食生活の指針を立てるのは難しい。
ACTN3遺伝子がR/X型かつACE遺伝がI/D型の私がその遺伝型に最も適した10回×5セット法で筋肥大できないケースがあるように、他の要因を考慮した上で、自分の感触を確かめながら試行錯誤を伴うメニューとプログラム構築が必要となる。
検査結果初見では「スプリンターとしては『並〜並以下』」という結果にがっかりしたが、色々と考察を巡らす内に、「向いてないという要素から考えると逆に速いやん!努力と知識ってスゲー!」、「なら、400とか800に出てみるか?」何て思うようになった。
(100mを選んだのは練習が比較的楽かつ短時間だからであり、今後も400や800は無理・・・)
#29へ続く
Ex:
β3ADR遺伝子変異タイプの内臓脂肪対策
負荷強度に依存しないトレーニング処方の多様化
【関連】
己を知れ #序
己を知れ #1
己を知れ #2
己を知れ #3
己を知れ #4
己を知れ #5
己を知れ #6
己を知れ #7
己を知れ #8「素養を知るなら母を観よ?-1」
己を知れ #9「素養を知るなら母を観よ?-2」
己を知れ #10「素養を知るなら母を観よ?-3」
己を知れ #11「素養を知るなら母を観よ?-4」
己を知れ #12「素養を知るなら母を観よ?-5」
己を知れ #13「素養を知るなら母を観よ?-6」
己を知れ #14「素養を知るなら母を観よ?-7」
己を知れ #15「素養を知るなら母を観よ?-8」
己を知れ #16「素養を知るなら母を観よ?-9」
己を知れ #17「素養を知るなら母を観よ?-10」
己を知れ #18「素養を知るなら母を観よ?-11」
己を知れ #19「素養を知るなら母を観よ?-12」
己を知れ #20「素養を知るなら母を観よ?-13」
己を知れ #21「素養を知るなら母を観よ?-14」
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プロトタイプ「己を知れ」