1月17日(水)

〜長い一日の始まり〜
この日は定休日だったが、朝一で母が具合が悪いから急いで病院へ連れて行ってくれと、連絡があった。数日前から下腹部が膨らみ、食欲がなく、嘔吐の兆候があったため、事前に検査は受けており、また具合が悪くなったら来てくれと言われていたようだ。

取り敢えずの点滴を母が受けている間に、先生から可及の要件で呼び出された。

瞬間的にこの日は長くなると覚悟したため、先に学校へ電話を入れ、帰りは元気な方のばぁちゃん家へ帰るように伝えてもらった。リュウマチの痛みに耐えかねて、1年ほど前から免疫抑制剤を入れ始めていた(※)ので、とうとう大腸がんになったのだろうと思ったからだ。

説明を受ける部屋に着いて、CT画像等で説明を受けた。

※ これについて思うことはまた別枠で書きたい



「脱腸(嵌頓・かんとん)」

下腹部の膨らみは脱腸によるものだと。大腿ヘルニア(※2)なんしは、鼠径ヘルニアであり、そこから腸がはみ出していたのだ。ヘルニアとは体組織が正常位置から逸脱した状態をさす。

実はこのような病気があることは初耳だった為、腹膜というか、筋肉や筋膜があるのに、何で腸がはみ出るのだと、思わず尋ねた。

つまり、大腿部の筋肉や筋膜が加齢によって、組成が変化、劣化して、腸がはみ出ることがあるというのだ(※3)。



「緊急手術」

症状がひどくなっていたため、可及的速やかに手術を行わなければいけなかった。しかも、何日も前からの話なので、嵌頓(かんとん)によって小腸の一部が壊死している可能性も高かった。

通常はヘルニア嚢を除去して、腸をもとに戻し、メッシュ状の補強材のような物を入れて再発しないように補強するのだが、壊死があった場合はその区間を切除して、つなぎ直す必要があった。

というわけで、即手術と相成った。



「結果」

手術は全身麻酔を含めて時間がかかるというので、一旦、帰ろうと思っていたが、帰してもらえず、手術が終わるまで家族室で待たされることになった。

いや〜、今日は色んな穀物が届くので、鶏の餌の調合をしたかったのになぁ〜、先日買った肉の塊をカットして冷凍庫に保存するスペース確保の為に凍らせておいた果実をジャムにしないといけないし。

仕方なく、フル充電しておいたタブレットで、「リクドウ」と「機動戦艦ナデシコ」、電池切れ用の運動と脳の本を読み漁りつつ、タイ米の柿ピーと明治のチョコ2ケースを食べ散らかしていたら、隣の部屋の明かりが灯り、先生が顔を覗かせた。

家族室で、お菓子を食べていたのを怒られるのかなぁ〜と、思っていたら、無事に手術が終わったとのこと。早かったのは小腸の壊死が起こっていなかったからだ。

切除した腹膜を見せてもらい、ハンドスピナーよろしくZIPロック越しにグニグニと触らせてもらいながら、説明を聞いた。切除したヘルニア嚢は、かなり年季が入っており、10年以上のものだったらしい。つまり、症状が出ても、軽い場合はそのままで引っ込むことがあり、それを何年も繰り返していたようだ。

何より、この日一番驚いたのは、手術室から出てきた母であった。全身麻酔後にもかかわらず、意識がハッキリしており、顔色もよく、ピンピンしていたからだ。

※2 大腿ヘルニアは40代以降の男性に多いと言われている。足が悪くなるのは大腿骨骨頭に起因しているのかなと思っていたが、自覚のないヘルニアが原因の場合もあるのかもと思った。

※3 俺、明日から、ハンギングレッグレイズ始めるんだ・・・



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私も患って考えた-Part.1「泌尿器科編」
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