レジスタンステストで速筋体質かどうか判別できる?-基礎編

Q:最大挙上重量の80%であれば、普通は10回程度は反復できるというのが定説ですが、私の場合、6回前後しか反復することができません。しかも、2セット目になると、もっと反復回数が落ち込みます。持久性から考えると、速筋線維が多いタイプと判断しても良いでしょうか?

レジスタンストレーニングに対する耐久性のみで、速筋線維が多いか否かを判断することは、少し難しいです。筋線維の比率に関係なく、運動に対する持久性に大きな影響を与える遺伝子があるからです。

一昔前なら、挙上重量と反復回数から、速筋線維と遅筋線維の比率を推測して、メニューを組むと言った方法がありましたが、現在は手っ取り早く遺伝子検査でそれを知ることができます。ただ、1社では不安なので、できれば2〜3社の検査を受けた方が良いでしょう。



運動に対する耐性に強い影響を与えるのが、血圧を上昇させる酵素「アデジオテンシン変換酵素(ACE)」の遺伝子で、このACE遺伝子がどのような型を持つかで持久性が大いに左右されると言われています。

アデジオテンシン変換酵素(ACE)は血管内壁を覆う筋を収縮させることで、血管を狭めて血圧を上げます。この酵素を作る遺伝子には、II型とID型、DD型があり、II型の人は驚くべき持久力を持つことが判明しているのです。

II型はACEの働きが弱く、血管が収縮し難いため、運動中における血流量、すなわち酸素供給量が滞りにくいために、全身持久力が高いとされています。一方、DD型は最も持久力に乏しく、ID型は中間的と言われています。



つまり、筋持久力云々、瞬発力云々というのは、速筋線維と遅筋線維の比率だけで決まるのではなく、血圧と酸素供給に関わる遺伝子の影響も大きく受けるのです。

昔の考えでは、レジスタンストレーニング耐性が低い場合、速筋体質と見なして、高強度低レップスのメニューが推奨されていましたが、遅筋線維の比率が高いDD型の場合、この方法論は通用しにくいと考えられます。

瞬発系競技に向いているか否か、持久系競技向きか否かは、1種類の遺伝子で決まるのではなく、「速筋遅筋」、「血圧調節」、「赤血球生産」、「ミトコンドリア」等々の複数の要因が影響します。また、遺伝子の影響は確かに大きいですが、運動能力や健康的な若さに関しては後天的な環境要因(食生活とトレーニング)の影響も重要かつ大きいと言われています。

この為、ウエイトトレーニング一つとってみても、一つの定説や方法論にすがることなく、様々な視点から自分自身(あるいはクライアント)を分析して、運動プログラムを構築する価値と楽しみがあるのです。

余談編へ続く



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