体脂肪を落とすのに有酸素運動が適するケース
とその効率的な実戦方法 #1

Q:体脂肪を落としたいと思い、「2017年前半の減量系話-まとめ」や過去ログを読んでいます。長期的な視点で観ると、特にウエイトトレーニングのような運動が体脂肪を減らすのに有効であるとは理解できましたが、有酸素運動が優れるというか、体脂肪を減らすのに有酸素運動の方が適するケースはないのでしょうか?と言うのは、現状、時間的にも環境的にも、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動しかできないからです。また、その際、少しでも効率的な方法があれば知りたいです。

この質問に対して対処療法的、攻略法的How to法で答えれば簡単ですが、多角的に捉えた場合、少し時間がかかります。

まず、体脂肪を落とすのに有酸素運動が適するケースは、あります。

そして、効率的な実戦方法もあります。

ただし、そこへ至るには、一定の理解度が必要となります。

よって、

・体脂肪を減らすのに有酸素運動が有効な場合とそうでない場合
・体脂肪燃焼目的の行為に有酸素運動を採用した場合のコツ

・・・等々のいくつかの段階を経て、解説を進めたいと思います。




体脂肪を落とすのに有酸素が適するかどうか?
〜数値編〜


極端な例えになりますが、

体重80kgで体脂肪率が25%の人が体脂肪率を20%まで減らしたい場合、全く筋量を減らさずに体脂肪だけを落とせたとして、5kgの体脂肪を燃焼させる必要があります。

5kgの体脂肪は約35,000kcalです。

適切な心拍数を保って有酸素運動を行うことができれば、そこで消費された約半分のカロリーが体脂肪由来となります。

従って、この人が有酸素運動のみで体脂肪5kgを燃焼しようと思った場合、単純計算で70,000kcalを消費する必要があります。

日々の食事が生活強度と活動量に見合ったクリーンな内容を厳密に保ちつつ、毎日、300kcalの有酸素運動を継続することができた場合、目標達成には233日かかる計算になります。

233日という期間が長いと感じる場合、運動量を増やすよりも、食事管理を徹底し、摂取カロリーを減らすことに力を注いだ方が早く結果を得られるかも知れません。

233日は約8ヶ月なので、それだけの日数をかけるなら、適度な食事管理とレジスタンストレーニングを組み合わせて、基礎代謝と体内の燃焼環境を高める方が効率的かも知れません。リバウンド防止という大きなメリットもあります。



一方、体重60kgで体脂肪率7%の人が体脂肪率を6%にまで減らしたい場合、約500gの体脂肪を燃焼させる必要があります。

有酸素運動でこの500gの体脂肪を燃焼させるなら、7,000kcalを消費することになります。食事がクリーンであれば、300kcalの運動を23日継続するだけで達成することができる計算です。

この場合、「減り代」と目標数値から考えれば、有酸素運動が適するかも知れないとなりますが、ここにホルモンからの視点を交えると、このシチュエーションにおける有酸素運動の有効性が見えてきます。

体脂肪10%を切り、なお、体脂肪を減らしたい人の中には、食事管理をメインに絞ってきた人も多いはずです。中〜長期のダイエットによって、消化管抑制ポリペプチドというホルモンの活性化が起こっている場合、それまでと同様の食事管理では、それ以上体脂肪を減らしにくくなっている可能性があります。

このような条件が重なった場合、全く別角度からのアプローチとして、有酸素運動が光明をもたらすことでしょう。

#2へ続く



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