〜課題の整理と優先順位付け〜

30代後半以降の効率的な筋量筋力の増強について考える際に整理すべきは、10代、20代との大まかな違いについてである。

最も大きいのは、回復速度に起因する回復力全般、並びに伸び代である。これは、主に各種ホルモンレベルの違いに端を発している。



次に体脂肪の付きやすさや食べられる量の違いも大きい。

筋肉増強を考えた場合、インプット、つまり食べる総量の増加が課題となり、一見、ハードゲイナーの人達とアプローチが似てくるようにも思えるが、食に対する方向性が少しだけ異なる。

30歳までのバルクアップしたい人やハードゲイナーの人に関しては、消化吸収システムの改善を念頭に摂取カロリーを増やして行くことが大切となるが、30代後半ともなると、基礎代謝の低下やホルモンバランスの変化によって、容易に体脂肪が蓄積されてしまうケースが多い。

また、タンパク質を含め、食べる量を増やしたいと思っていても、食欲旺盛な10代や20代の頃のように、量や回数をこなすことが難しい人も多くなる。

この為、食に関しては、ハードゲイナーやバルクアップ志向の人達とアプローチが一見、似てはいるが、取り分け「効率」や「質」を重視した栄養補給を心がけないといけない。



上の二点が30代後半のトレーニーにとって、最も重要な認識となるが、これらに加えて健康増進を加味したトレーニング&栄養摂取プログラムを考えるべきである。

インシュリン反応や心臓血管系、肝機能、腎臓、抗酸化、と言った各種機能が向上するようなアプローチで臨まないといけない。バルクアップを急ぐ余り、多量の糖質を摂取しすぎて、インシュリンに対する反応が悪くなる、トレーニングがハードすぎる余りに免疫力が慢性的に低下して不具合が生ずる等々はいただけない。

血液検査データ的にも、見た目的にも健康的であるように、肉体年齢と健康年齢を若く保つ必要がある。ただし、それらを強く意識しなくても、トレーニングや食に対するアプローチさえ正しければ、当然の帰結として見栄えや見た目へと如実に表現される



その他の要因としては、社会的、家庭的な時間の制限が増えると言った環境的要因の違いや関節強度の違いもあるが、これらについては後に余裕があれば考えてみたい。

まずは次回以降、30代後半のトレーニーが留意すべき最重要課題であるホルモンレベルの調節について考察してみよう。

#2へ続く



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