長編「夏の6パックに向けたトレサイクルは既に始まっている」シリーズで述べた通り、夏までにしっかりと身体を仕上げたい人は遅くとも晩秋から計画をスタートさせるべきである。多少の筋損失は気にしないくらいのスタンスで減量に臨む方が成功率が高いので、冬の間にしっかりと筋肉を付けておかなければいけない。

6パックやリーンボディに興味が無く、専らサイズアップが目標の人でも、身体を大きくしやすい冬こそ、しっかりとバルクアップに精を出したい。

そんな場合に、どのようなオプショナルサプリを投入すれば良いかと言う話は、オプショナルサプリ選択法「筋量増加期のサプリ」で解説済みであるが、更に理解度を深めるために順序よくまとめてみたい。



「筋量増加、バルクアップの為の手順」

0、摂取カロリーと摂取タンパク質を増やす

筋肉1kgを増やすには、莫大なカロリーが必要となる。それをまかなう為にサプリメントを利用するという考えが一般的かも知れないが、一見、食品に比べてコストが低そうなプロテインやゲイナーも、筋量を増やすのに必要なカロリーから計算すると焼け石に水といっても良く、大カロリーが必要な時期こそ、食事から栄養補給すべきであり、その内容の充実に努めないといけない。

本当に自分の身体に革命をもたらしたいのであれば、咀嚼によって栄養素の吸収が高まると言われていることも頭に入れて、既存のパラダイムから脱却すべきである。



1、食事からの消化吸収を促す

同じ量、同じ内容の食事でも、咀嚼、胃酸、消化酵素、腸内細菌叢バランスと言った要因の影響で、吸収率が変わるのは、説明しなくても想像できるだろう。胃腸の強さは身体を大きくするための重要な才能の一つなので、同じ物を食べるにしても、正味の吸収量を高める努力をして擬似的に強い胃腸を再現しないといけない。



2、インシュリン系の強化

食事におけるインシュリンの適度な分泌とインシュリン模倣物質の利用、そして、筋肉のインシュリン感受性を高めるテクニックや栄養素を駆使することで、筋肉への吸収をインシュリンに依存する栄養素の吸収を劇的に高めることが出来る。もちろん、筋肉の材料であるアミノ酸の筋肉への吸収もインシュリンの影響を受ける。



3、栄養分配改善

バルクアップは全体的に身体を大きくすることを第一とするので多少の脂肪沈着は致し方ないが、それでも必要以上の体脂肪の蓄積は避けたいところだ。そこで、脂肪細胞よりも筋肉のインシュリン感受性を上回らせないといけない。同時に、筋肉への血流量を増加させることで、筋肉へ優先的に栄養素が分配されるようにコントロールしたい。

これらのテクニックによって、血中へ放出された栄養素の行き先を筋肉に優先的に集めることが可能になる。



4、腸内細菌叢バランスの改善

良好な腸内細菌叢バランスは、一見、眼で確認することが困難のように思えるが、実の所、それは延長された表現型として、人の外見と性格に強く表れることが近年では知られている。腸内の細菌によって、各種栄養素の吸収が高まるだけでなく、ある栄養素の最終的な分解、微量栄養素の生産、抗不安、等々を細菌が担っており、そのバランスの欠如は、各細胞への栄養分配に影響するため、肌や骨格、筋肉などの外見に留まらず、脳機能にまで影響を及ぼす。

折角摂取した栄養素や「途中までの消化過程に対する努力」が無駄にならないようにするためには、消化の最終段階である腸内細菌に最も強い関心を寄せても良いくらいだ。



さて、0〜4まで、よく読むと、若干の疑問を感じるかも知れない。

0は、非常に大切ではあるが、人が食べられる量には限界があり、また、食べる量を大幅に増やすには、それなりのコストがかかると言う関門がある。ところが、1〜4に力を注いだ場合、0の比重がいくらか減ることに気がついただろうか?1〜4が達成されれた場合、依然0の重要性は変わらないが、食べまくることに腐心する必要性が低下するわけだ。

その辺りの知見を明確に自分の物にするには、「実践と観察から学ぶ栄養学」を今一度読み返して欲しい。

#2へ続く



【関連】
バルクアップメカニズム #1
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