Q:古株先輩Aは、トレーニングの最初にいつも傾斜をマキシマムにした腹筋台でシットアップを行っています。ある時、僕も真似して採り入れてみようと遠目に観察していると、古株先輩Bが近寄ってきて耳打ちしてきました。「あんなに傾斜を付けていたら、全然腹筋に効かないから何の意味もないぜ?腹筋に効かせるには腹筋台は傾斜を付けず、可動域が小さくなってもいいから、丁寧に行うんだ!」・・・と、どちらの先輩の腹筋も立派に発達しているので、混乱してしまいます。

腹筋編-Part.1-後編
「急な傾斜を付けた腹筋台」


昔のジャッキー・チェンかよ!っと突っ込みたくなるような最大限に傾斜を付けた腹筋台での修業的腹筋も、目的からすれば有意義ですと言うのが前回の前編の内容でした。

今回は、アイソレート派の古株先輩Bが説く、腹筋運動について考えてみましょう。


〜腹筋アイソレートへの道〜

1、シットアップ台の傾斜は緩く
傾斜をきつくすればするほど、腸腰筋などの他筋群利用率が高まるため、傾斜を付けるなら第一段目くらいの緩やかな傾斜が良いでしょう。

2、可動域考察a
腹筋運動と言えば、上体を屈曲させるイメージがありますが、腹筋の筋力不足や不慣れと言った問題がある場合、やはり、腹筋そのものの利用率が下がる上、人によっては腰を痛めかねません。慣れないうちは、曲げるイメージではなく、肩を軽く浮かすような、アゴと肩がシートに対して上下に動くだけの可動域で行います。そして、徐々にできるだけ腹筋のみで上体を動かせられる範囲を広げていくのが良いでしょう。

3、負荷
シットアップ中〜上級者であれば、ダンベルやバーベルプレートを用いて適切な負荷をかけるのが理想のひとつですが、やはり、腹筋の筋力をオーバーし過ぎた負荷をかけた場合、腹筋運動ではなくなってしまいます。自分自身の筋力を見極め、初めは自重からスタートしましょう。また、シットアップ台の傾斜を適度に付けると、ある程度までは腹筋に対する負荷を強めることができるので、身体能力に見合った角度を適時見つけてみて下さい。



〜腹筋アイソレートへの道2〜

「可動域考察b」

上に挙げたポイントに注意を払っても、腹筋の動きを掴みづらい、イマイチ腹筋が使えているかどうか判らない場合があります。その際は、標的部位がストレッチされた状態からスタートできる動作を選択します。使用部位が予めストレッチされた状態から動作をスタートすると、その主導筋を意識しやすくなるからです。

腹筋は前方に身体を屈曲させる働きを持ちますが、その可動域は意外に広く、身体を反らしたかなり後方から働きます。この可動域を活かし、腹筋に予めストレッチがかかった状態から、腹筋運動を始めたい場合、シートと腰の間に適度な大きさと柔らかさを持つ物体を挟むと言った方法があります。

専用のアブマットなども良いですが、ジムや家庭でも利用しやすい(ジムや家の片隅に転がっていそうな)バランスディスクや小形のバランスボールなどを利用すれば、簡単に腹筋の可動域を最大化することができます。こうすることで、それまで意識しにくかった腹筋を上手に使えるようになるだけでなく、その行為は腹筋に対するストレッチ種目になるので、腹筋の筋肥大にも非常に有効な手段となるのです。



と言う訳で、出来るだけ腹筋を使うと言う行為は、地味ながら様々な工夫と心がけが必要であり、兎にも角にも腹筋のみを鍛えたい人はアレコレと試して最適化するのが良いでしょう。

#8へ続く



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