Q:以前からジムでのハムストリングストレーニングの結果にあまり満足しておらず、また、自動調律の話を読んで興味が出たため、思い切ってスプリントを試してみました。結果的に今までとは異なる箇所や深さの筋肉痛が出たので、自分のトレーニングに導入したいと思いました。ですが、あまりにも筋肉痛がきつく、また、それが点在するので、他の部位のトレーニングへの影響を考えると、どのようにプログラムへ組み入れるべきか悩んでいます。

スプリント採用時のプログラム設定-3
「下半身のみに集中する」


特に競技を行っていない人にとっても、スプリントトレーニングをプログラムに組込むことは大きな価値があります。

一つは、頻度にもよりますが、減量効果が高いことです。スプリント自体のエネルギー源は、主にクレアチンリン酸系なので、運動中に体脂肪をエネルギーに変えることはほとんどありません。ですが、スプリントトレーニングは、筋肉や内骨格に対する破壊力が大きい為、トレーニングを終えた後に壊れた身体を再構築する為に急激な代謝が起こります。安静時代謝のほとんどが体脂肪由来なので、それを昂進させるスプリントを高い頻度で行えば、最短で体脂肪を落とせることが知られています。

ただし、それを達成するには、スプリントの本数と頻度が安定していることが条件となります。

現実的、実践的には、多くのトレーニーにとって、特に筋量やフィジークのインプルーブを求めるウエイトトレーニング愛好家の場合においては、ふたつ目の理由である、ハムストリングスを中心とした下半身の筋量改善効果が最も注目すべきスプリントの利点となります。

スプリントトレーニングは、ハムストリングス全体は勿論、取り分けハムストリングス上部から大臀筋にかけての刺激が強い為、それを継続することで下半身が力強いシルエットに改善されます。ポピュラーなレッグカールでは鍛えきれないハムストリングス上部を強く刺激し、お洒落なグルートマシンでは得られないダメージを大臀筋に与えることができるのです。

これら望んでも鍛えにくい部位は、高強度のデッドリフトやスティフレッグドデッドリフト、フルスクワットでも刺激することができますが、意識的にも無意識的にも、それらの種目において、怪我の予防と言う意味からも、多少の余力を残したトレーニングになりがちで、フルに下半身を打ちのめすことができるトレーニーは多くないでしょう。

つまり、どのようなシチュエーションやモチベーションで行っていても、鍛えきれない部位というのは存在するわけです。また、刺激に変化を付けることがコンスタントなインプルーブに繋がると言う点から考えても、ウエイトトレーニングのみに手段を依存するよりも、身体が不意打ちを喰らうような新しい刺激を注ぎ込むべきです。



このことから、ウエイトトレーニング愛好家がスプリントトレーニングをトレサイクルに組込む場合、その時期を下半身改善のみを目的とするのが良いでしょう。

従って、スプリントトレーニングの採用によって、下半身以外の部位に酷い筋肉痛が出ても、全く気にする必要はありません。

むしろ、下半身改善期と設定するのであれば、1〜3ヶ月くらい腕はおろか、大胸筋や広背筋を含めた上半身のトレーニング自体をオフにしてしまっても問題ないくらいです。

筋肉を愛するトレーニーにとって、腕トレや胸トレをオフにしてしばらく休むなんて、考えられないことかも知れませんが、下半身に特化したトレーニングサイクルは、結果的に上半身を発達させるという実験結果が有り、その刺激とホルモン分泌作用の高さからそれが理に適っていることが理解できます。



と言う事で、「スプリント採用中は、上半身のトレーニングを完全にオフにする!」とまでは行かなくても良いので、二頭筋や背中などが余りにも痛いのであれば、休んでも筋量は減らないので、自信をもって休むと言う立派な選択があるのです。

#4へ続く



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