ある夏の日、子供の幼稚園友達が家に遊びに来た。
散々遊んだ後、彼が男の子と言うこともあり、ザリガニ獲りに連れ出した。
以前、野生化したボイセンベリーを狩りに行った際に、群棲している地帯を発見していたからだ。
散々遊んだ後、彼が男の子と言うこともあり、ザリガニ獲りに連れ出した。
以前、野生化したボイセンベリーを狩りに行った際に、群棲している地帯を発見していたからだ。
家を出て数分。目星を付けていた川に辿り着くと、そこには無残な光景が広がっていた。
あまりに賑わいすぎたコロニーは、過密になった為に酸欠になったのか、ザリガニの死骸が死屍累々。
ひょっとしたら、酸欠ではなく、ぬるま湯のパラダイスで過密に繁殖した彼らは、ちょっとした環境の変化に弱く、立ち所に食料の奪い合いとなり、共食いが勃発した結果だったのだろうか。
いずれにせよ、その亡骸は人類に啓示を与えようとしているかのようだった(大げさ)。
立つ瀬のなくなったお父ちゃんは、責任を果たすべく、溜池へと子供達をいざなった。
池を半周するも、ザリガニどころか酷暑によって生命の痕跡すらみあたらず、いよいよザリガニ一匹採れぬ男の烙印を覚悟せねばならなくなってきた頃、新たな集団を見つけた。
しかし、そこは急な斜面を下った池の中。干からびた泥の中に光る最後のオアシスには、網なぞ届こうはずもない。
意を決して斜面を滑り落ち、沼状の湖面に降り立った。
さすがに前人未踏の狩り場だけあって、これまでの人生で最も効率よくザリガニを大量に捕獲することができた。
捕獲したザリガニを網に入れて、遙か上で見守る子供達に渡した。
網も渡し、撤収しようとしたときに問題が発生した。
滑り落ちるように降りた斜面なので、長靴では登って引き返すことができなかったのだ。
仕方なく遠方に見えている登りやすそうな地点まで、干からびた沼状の陸地を歩いて行くことにした。
すると、途中で陸地がなくなり、何処も水をたたえるようになってきた。
そこで、深みを避けるように歩いたところ、岸から離れてしまった。岸から離れると、ヌプヌプと足が沈み始めた。
右足が沈む前に左足!左足が沈む前に右足!
...というようには上手く事は運ばず、あがけばあがくほど、両脚は沈み込んで行った。
あらら?これはミイラ取りがミイラになると言う奴ではないかぃ!?何か、ニュースデビューしそうな予感。南の島のフローネだったら、背負ったサトウキビで助かったのだが...。
頼みの綱の力業が全く通用しなかったので、これは流石に無理かと諦めかけた時、心の声が聞こえた。
「冷静になって考えるんだ!」
そうだ!
確か「太陽の牙ダグラム」で、二足歩行のコンバットアーマーは足場が不安定な砂漠では不利だとかなんとか言っていたなぁ〜。
そうか、一本当りの荷重を減らせばいいんだ。
「ユニットチェーンジ!!」
頭の中でアホなフレーズを叫んで、やにわに両手を泥について四つん這いになった。
すると、途端に沈降が止まり、四肢が自由に動かせるようになった。
気持ちはデザートガンナー、見た目は壊れたクラブガンナーで前進し、葦がまばらに生えている地帯まで辿り着くと、その中から一本選んで杖にすることで、やっとまともな格好で前進できるようになった。
ほうほうの体で池から上がると、子供達はヤンヤヤンヤと大喜び。
ザリガニ獲り以上のスリルと冒険をお互いに味わえたのだった。
#3へ続く
【関連】
自慢話的「野外の事故予防」 序
自慢話的「野外の事故予防」 #1
自慢話的「野外の事故予防」 #2
自慢話的「野外の事故予防」 #3
【Ex】
部活の熱中症対策ってのは家から始まっている 前編
部活の熱中症対策ってのは家から始まっている 後編
あまりに賑わいすぎたコロニーは、過密になった為に酸欠になったのか、ザリガニの死骸が死屍累々。
ひょっとしたら、酸欠ではなく、ぬるま湯のパラダイスで過密に繁殖した彼らは、ちょっとした環境の変化に弱く、立ち所に食料の奪い合いとなり、共食いが勃発した結果だったのだろうか。
いずれにせよ、その亡骸は人類に啓示を与えようとしているかのようだった(大げさ)。
立つ瀬のなくなったお父ちゃんは、責任を果たすべく、溜池へと子供達をいざなった。
池を半周するも、ザリガニどころか酷暑によって生命の痕跡すらみあたらず、いよいよザリガニ一匹採れぬ男の烙印を覚悟せねばならなくなってきた頃、新たな集団を見つけた。
しかし、そこは急な斜面を下った池の中。干からびた泥の中に光る最後のオアシスには、網なぞ届こうはずもない。
意を決して斜面を滑り落ち、沼状の湖面に降り立った。
さすがに前人未踏の狩り場だけあって、これまでの人生で最も効率よくザリガニを大量に捕獲することができた。
捕獲したザリガニを網に入れて、遙か上で見守る子供達に渡した。
網も渡し、撤収しようとしたときに問題が発生した。
滑り落ちるように降りた斜面なので、長靴では登って引き返すことができなかったのだ。
仕方なく遠方に見えている登りやすそうな地点まで、干からびた沼状の陸地を歩いて行くことにした。
すると、途中で陸地がなくなり、何処も水をたたえるようになってきた。
そこで、深みを避けるように歩いたところ、岸から離れてしまった。岸から離れると、ヌプヌプと足が沈み始めた。
右足が沈む前に左足!左足が沈む前に右足!
...というようには上手く事は運ばず、あがけばあがくほど、両脚は沈み込んで行った。
あらら?これはミイラ取りがミイラになると言う奴ではないかぃ!?何か、ニュースデビューしそうな予感。南の島のフローネだったら、背負ったサトウキビで助かったのだが...。
頼みの綱の力業が全く通用しなかったので、これは流石に無理かと諦めかけた時、心の声が聞こえた。
「冷静になって考えるんだ!」
そうだ!
確か「太陽の牙ダグラム」で、二足歩行のコンバットアーマーは足場が不安定な砂漠では不利だとかなんとか言っていたなぁ〜。
そうか、一本当りの荷重を減らせばいいんだ。
「ユニットチェーンジ!!」
頭の中でアホなフレーズを叫んで、やにわに両手を泥について四つん這いになった。
すると、途端に沈降が止まり、四肢が自由に動かせるようになった。
気持ちはデザートガンナー、見た目は壊れたクラブガンナーで前進し、葦がまばらに生えている地帯まで辿り着くと、その中から一本選んで杖にすることで、やっとまともな格好で前進できるようになった。
ほうほうの体で池から上がると、子供達はヤンヤヤンヤと大喜び。
ザリガニ獲り以上のスリルと冒険をお互いに味わえたのだった。
#3へ続く
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