「ミクロレベルにおける運動の有効性」-中編

あまり良いことではないかも知れませんが、頭痛や偏頭痛の時にトレーニングを強行した経験を持つ方も多いと思います。

頭痛が悪化しないように騙し騙しトレーニングを進めると、トレーニングの後半、あるいはトレーニングを終えてからあることに気がつきます。

どのような鎮痛剤を飲んでも治まることがなかった頑固な痛みが軽減されているか、まるで頭痛など始めからなかったかのように痛みが引いていることがあるのです。

これら痛みの軽減や消失という反応について、これまで個人的には運動によって分泌される「βエンドルフィン(脳内モルヒネとあだ名される)」が強く関与していると思っていました。

また、運動によって同じようにドーパミンの血中レベルやドーパミン感受性が高まる現象もβエンドルフィンと共同して痛みを軽減するのではないかと考えます。

恐らく一般的な理解もこれらに一致し、大筋ではこれが本命かも知れませんが、近年の研究結果から別のホルモン様物質の関与も考えることができます。



【運動によるサイトカインの分泌】
〜インターロイキン-6〜


インターロイキン-6は、限定的にホルモンと同じ振る舞いをする「サイトカイン」と呼ばれる物質の一種です。

レジスタンストレーニングなどで筋収縮が起こった際に分泌されるインターロイキン-6は、抗炎症作用を持ちます。このことから、運動による筋肉の炎症を治める為に分泌されると考えられています。

運動自体は筋肉などの炎症を起こしますが、身体は同時にそれを治すホルモンやホルモン様物質を高めるという良くできた仕組みを獲得しているのです。

また、βエンドルフィンなどが痛覚を抑えると言う間接的な作用に対し、インターロイキン-6はそもそもの痛みの元である炎症を鎮めるという違いがあります。


トレーニングによって頭痛や偏頭痛が治まることがある(※)のは、インターロイキン-6の直接的な影響か、インターロイキン-6を含めた各種ホルモン様物質の共同による結果かも知れません。

ただし、その為にはインターロイキン-6が頭まで運搬されているという前提条件があり、実際に脳血管の炎症部位まで筋由来のインターロイキン-6が届いているかどうかは判らないので、運動による白血球由来のインターロイキン-6の働きが強いかも知れません。

いずれにしても運動によるインターロイキン-6レベルの上昇が痛みの軽減に関して関与している可能性があるでしょう。

※ もちろん、悪化や重篤な事態に陥る可能性もある

後編へ続く



【Ex】
○○が痛い

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