〜プロローグ〜

体重無差別の空手の全国大会、つまり、空手日本一を決める大会への出場権を得た松岡先生。

スケジュール的に難しかったので、今回は始めから観戦を諦めていた。

しかし、観戦理由の半分は、日頃お世話になっている事や宣伝効果などを含めた打算と計算であったが、もう半分の「単純に興味がある」という理由は「時間がないから」、「お金がないから」、「仕事休めないから」を言訳にしない十分な動機とエネルギーとなる。

試しに詰められるだけ詰めてみようと18日(木)の夜中に夜な夜な頑張ってみたら、何とか詰まりそうな感じになり、金曜の午後に日曜日だけなら行けそうな目処が立ったので、松岡先生にメール。

「日曜日に行かせて頂きますので、土曜日は勝上がっといて下さいね♪」

と余計なプレッシャーをかけ、土曜日の発送を終えてから、観戦へ出発し現地で一泊。

11月21日(日)

東京体育館へ正午過ぎに到着。

急遽、観戦が決まったので当然ながら当日券。

チッケト売場に並んでいたら、少し離れた場所から外国人のダフ屋が列に声をかける。ダフ屋のトークが愚痴にエキサイト。誰に向かって話しているのだろうかと考えたら、ニコニコ頷いていた他ならぬ自分であった。

会場入りしたら、丁度、試し割の為に選手が勢揃いしているところだった。

引き分けの際の判断材料とする為に試し割を行うのだが、意外に見所は多い。

大きく分けて2アクションの動作になる。
ワンアクション目で、上半身→腕。
腕が板に近づく前に下半身の動作を上半身で生み出した力のベクトルに被せる。

このコツが要りそうな力の収斂を誰彼に習うでもなく、自然とできるような人達が全日本や世界の舞台に立てるのだろうな〜と漠然と感じた。



無差別級の試合なので、様々な体格の選手が参加し、体格差が大きい対戦もある。その様は当然、素人目にも見応え十分であるが、先の試し割同様、トレーナーであればいくらお金を払ってでも見る価値がある。

この大会は2日間にわたって行われるツーデートーナメントで、マスターが観戦した日曜日は土曜日の1回戦と2回戦を突破した選手達による3回戦からスタートする。

試し割の後、3回戦がスタートした。



どの試合も見応え十分な内容だったが、3回戦中盤の中村選手の試合が印象的だった。アグレッシブに行こうとする気迫が感じられ、面識はないのだが戦い振りを見ていて気持ちが熱くなった。

(その後、有名どころの選手の試合を見ていたら、集中力が無くなってきたので、軽食を兼ねて休憩)

戻ってきたら、ちょうど松岡先生の試合だった。



対戦相手の田中選手は、昨年の優勝者。
無差別級、日本一。

臆することも護りに入ることもなく、常に一本勝ちを目指す攻めの戦い振りが最初から伺えたが、何となく動きが硬いようだ。

それでも相手選手の脇腹に何本か入った中段蹴りの音の凄いこと。どうでもいいけど、格闘技選手は物理的に破壊される肝臓の為にレバーブロウを飲んだ方がいいのではないかと思うほどだ。

技の威力は十分のようだが、その一方で昨年の世界戦のような遠近自在の距離感がなく、相手のレンジで闘っているような印象を受けた。

どちらも決め手に欠けるまま、判定へ。
松岡先生の中段蹴りの印象が強かったが延長戦かなと思っていたら、松岡先生の判定負け。

初日で脚を痛めていた影響かも知れないが、100%の実力を出し切れてないような印象だったので、今までしてきたように何度でも自分の殻を破って変身して行くのが鍵かも知れないと思った。



せっかく世界レベルの選手が集まっているので、後学のために観戦しない手はない。その他の試合をいくつか拝見してから会場を後にした。

技を巧く極める人は、狙うのではなく組み手の流れの中で勝手に出ている感じがした。普段の練習の動作をそのまま再現、考える前に技が出る繰り返し効果。逆に如何にも狙っている感じ人は、動きが硬いような印象を受けた。



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