「近年における若い女性の体組成変化-後編」

女性グループを対象に行われた近年の追跡調査では、大学時代から社会人5年生までの間に平均で2kgの体重の減少が起きていました。

2kg減と言っても、除脂肪体重が5kg減って体脂肪が3kg増えた結果なので、体脂肪率が大幅に増えてしまっています。そればかりか、基礎代謝や骨密度が低下しているので、将来的かつ恒久的な視点で見てもフィットネス的には良い結果とは言えません。

石井理論も一般的な理屈においても、上記の視点に基づいて予防と改善に取り組むべきという結論に至ります。そして、この考えは100%正論なので、普通はそれに従うべきです。

しかし、これでいいのだという楽観的な考え方もできます。



【信じちゃいけない!?マスターの単なる適応説】

極々若い時代においては、女性の体脂肪率は極力低く保たれる方が良いと言う説があります。体脂肪率が低ければ低いほど、受胎の可能性が下がるからです。

優れた相手、あるいは(むしろ!)自分にとって最も都合の良い相手を選ぶには、ある程度の経験が必要です。

恋愛というメカニズムを利用し多くの経験を積むには、簡単に妊娠してしまう構造を持つべきではありません。

故に極々若いうちは、受胎率が下がるように無意識かつ本能的に「痩せたい!痩せたい!」と常に願望するように進化してきたのではないか?

そして、ある程度の経験を重ねたであろう年齢に到達すると、今度は本人の意識無意識に関わりなく、身体は繁殖のための準備を始める。すなわち、体脂肪率を一定まで高めて、妊娠しやすい体脂肪率に固定するのではないでしょうか。

もちろん、それでも尚、女性の痩身願望は衰えない。

何故なら、同時にあまりに体脂肪率が高いと受胎率が低下するからだ。

本人の意志や努力、願望に関わりなく、身体がホルモンや行動を制御して、年齢相応の適切な体脂肪率へとコントロールしているのではないでしょうか?



この実験における年齢の変化は、正に上の条件に符合するはずです。

つまり、今回、起こった経年による若い女性の体脂肪率増加は、運動生活や食生活の急激な変化が主犯ではなく、単なる正当な適応反応と捉えることもできるのです。

なので、20代後半になって、体脂肪率が上昇するのは自然の摂理であって、気にする必要もなければ、無理に逆らう必要もないのです。



しかしながら、本能に関わりなく、オシャレの為や美意識の為に痩せたいという心を否定することはありません。自分の願望に従い、叶えてあげるのもまたひとつの真理でしょう。

そうなると、やはり結局の所は、女性であれど若い頃の筋量を取り戻し、キープできるようなレジスタンストレーニングの採用と継続が一過性ではない恒久的手段となります。



さてさて、今回の余計なマスター仮説は無視して、経年における若い女性の体脂肪率増加が本能的適応ではないとすると、何で起こってしまったのでしょうか?次回はその原因のひとつについて考えてみましょう。

#7へ続く



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