デギン公王
「貴公はマーケティングやマーチャンダイジングと気安く言うが・・・」

かつて、アイヌの人々は、狩った動物を手厚く葬る習慣があった。

地上界で手厚くもてなされた動物は、天界に帰ってからもその時のもてなしが忘れられず、再度地上に動物の姿で帰りたくなるだけでなく、友達も連れてきてくれるという意味があるそうだ。

この儀礼を行う真の意義とは、そのように思い至る心やミームを持っていた方が不必要な乱獲を防止できるので、結果的に乱獲による自身の食糧難を防止でき子孫を残せるのだろう。

長い年月をかけて、乱獲を避けるような精神構造を遺伝的に獲得し、また、その環境に適したミームが残ったのだろう。

日本人はアイヌ人を始めとする狩猟民族であった縄文民族の遺伝子を多かれ少なかれ内在させている。あまつさえ、1分も遺伝子を共有していなくても、その環境や風土に則したミームは受け継いでいるのだ。

つまり、日本人の根底にあるのは、無駄な乱獲を避ける心なのだ。
無駄な大量消費や無駄遣いを本当は好んではいないはずだ。

例えば、電気代が0円だとしよう。エアコンの環境負荷も0としよう。
しかし、それでもあなたは誰も使っていない部屋の明かりとエアコンをオフにしてしまうだろう。無意識でも無駄な乱獲を嫌う心が遺伝的に備わっているからだ。

このDNA的に予めプログラミングされた精神構造は、日本という狭い島国の環境下で遺伝子の川を絶やさずに次代へ継いで行くには必須の条件なのだ。

乱獲を嫌うや「もったいない」と思う心が予め備わっていなければ、島では何世代も重ねることができないからだ。

これら日本人からなくなることのないDNAやミームを理解せずに、マーケティングやマーチャンダイジングを語るのは、いささか「科学的」ではない。



「今後の時代に即したプロダクト」

どのように洗脳教育されようと日本人から「もったいない」という遺伝子に刻まれた心を奪うことは出来ない。よって、アメリカ型超大量消費の型に完全にはめることなどできない。

ワンタイム消費のプロテインバーやプロテインドリンクの定着はこれまで通り難しいだろう。

サプリメントの形状も、廃棄時にかさばるようなものは、まず、心理的に好まれない。そして何より、近年では自治体によって料金が発生するので、かさばる形状のものは敬遠されがちである(地方の視点ではなく完全に東京ユーザーの視点で作らないといけない)。

今後、スポーツサプリメントは、景気や購買形態嗜好の変化を考慮すると通販に収束していくだろう。

その流れから考えると、廃棄時にユーザーへ負担をかける形状の製品は、同時に流通の際に小売業にも負担をかける結果となる。これは、目指すべきウィンウィンなプロダクトではなく、誰にとっても益にならないので、これからも需要が増える大通販時代に適合・特化した製品作りをしても良いだろう。

つまりは、ユーザー目線で考えるだけでなく、そのプロダクトが辿る経路全てを計算に入れ、その循環において何処にも引っかかりのない製品を目指すべきだ。



今後、どのような変化が起こるかわからないが、身体が大きくてかつ賢いメーカーだけが生き残る時代に既に突入しているかも知れない。

その時、恐竜の足元を巧みに駆け回った原始ほ乳類の如く、素早く動き、素早く変化に対応できなければ、小さな小売業者が淘汰されることは、予測ではなく確定しているだろう。

#8へ続く



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