「大腰筋の話-後編」

白人や黒人に対して、「デフォルト」的にも「後天的発達」的にも大きく劣るであろう日本人の腸腰筋・・・。

今日、スプリントや跳躍系など瞬発力を必要とする競技やポジションにおいて、大腰筋やそれを含む腸腰筋の働きは大きいと考えられています。

トレーナーや実践者において、個人個人それぞれの考えや方法論があるので、ひとつのベスト的解答は存在しません。よって、短絡的に「腸腰筋を強化せねば!」という考えてしまうのは危険です。

にもかかわらず、えせトレーナーたる「マスター」の考えはB級トレーナーと同様に、「腸腰筋強化を念頭に置くべきだろう」という考えです。

な、な、な、なんでヤネン?


モータースポーツにおいては、出場するレースのカテゴリーによって、レギュレーションが厳しく設定されています。

レースに出場するには、まず、規格通りのマシンを手に入れることから始ります。
その上で、レギュレーションに収まる範囲でのカスタマイズを行います。

つまり、エンジン出力や排気量、車体重量、等の条件はある程度五分にした上で、「技術」や「スピリット」を競うわけです。

モータースポーツにおいては、空冷2気筒750ccの二輪レースに、原付で馳せ参じて「俺は峠で負けたことがない!技術なら誰にも負けないから!!」といくら叫んでも、出場はおろか誰にも相手にされません。

真剣なレーサーに対して無礼千万です。

モータースポーツにおいて弱点とは、コースとの相性や乗り手の技術であって、レギュレーションギリギリの馬力やトルクは、レース前にほぼ手に入れているのが大前提となるので、規定を大きく下回る「パワー不足」は弱点以前の問題になります。



ファンスポーツではなくシリアスな競技であれば、上記の話と似てきます。

瞬発力、すなわち腸腰筋を含めた瞬発力を生み出す筋群がものを言う競技やポジションにおいて、平均的な筋量・筋力、つまりレギュレーションにすら達していないのに、技術や精神論、方法論を語るのは、些かナンセンスだと思いませんか。

これら力がモノを言う競技やポジションにおいては、まず、規格に準じたマシンで参加するのが物理的かつ論理的アプローチと言え、競技に対するある種の礼節でもあります。

もちろん、これらの考えは「参加することに意義がある」場合ではなく、シリアスな競技においての考えで、シリアスアスリートを自称するならスタートラインに立つ前に、規格に準じた筋力や筋量に達せねばという意気込みを持つべきです。



ある種、にべもない理屈で人によっては少々嫌みに聞こえるかも知れませんし、長所伸展法に則しませんが、埋められる穴がある限りは埋めるべきというのがマスターの考えです。

さて、問題かつ本題は上の話が嫌みに聞こえず、むしろ、ヤル気になった場合にどうするかです。

「弱点だからって、腸腰筋だけ鍛えてもしゃーない!」という意見も100%正しいので、腸腰筋強化に関しては、それを踏まえた折衷案的かつ包括的なトレーニングアプローチで挑むべきなので、絶対ではありませんがマスター案を頭の片隅にでも留めておいて頂ければ、少しはお役に立つかも知れません。

#4へ続く



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