企画書スキャン「隠しきれない退屈に今、We say Good-bye ♪」

「超力ロボ ガラット」のオープニング曲をBGMにしたが如く、初めて書いた企画書。

俺はヤッパリ頭オカシイんじゃないか?
やめるなら今のうちだぞ。

塩素投入やプールの保温のためのシートがけなどの業務を一通り終えた深夜のコーチルーム。

「マネージャー、ちょっとお話が」
恐る恐るマネージャーに、企画書を手渡しました。

いきなり変なモノ渡して、
「なんじゃコイツ?」、「狂ってるんじゃないかと思ってたけど、ヤッパリ!」
って仰天するだろうなー!

しかめっ面で目を通していたマネージャーの顔はみるみる変り
「ええやん!やろうや!」
を連呼し、スッカリご機嫌になりました。


さて、写真は当時のワープロ打ちした企画書のスキャンですが、下にもう一度タイピングしました。その内容は、現代フィットネス事情に十分に通用し、フィットネス関係者のみならず、トレーニング実践者にも参考になると思うので、是非、ご一読下さい。

初心者向け「期間限定・短期集中チューブトレーニング(仮)」 1、上半身編

トレーニング初心者を対象に特定の期間、特定の筋肉に絞ったエクササイズを行うことによって、大きな運動効果を期待する。(3ヶ月間、全10回)


「特徴と目的」
レッスンの3分の1の時間をフィットネスに関する簡単な授業、残りをエクササイズに充てる。そうすることによって、会員の目的意識の向上(モチベーション)やエクササイズへの集中力を高め、運動効果を上げることができる。

エクササイズによる脂肪燃焼が目的ではなく、筋量の増加による基礎代謝の向上がねらいであるが、従来のレッスンがエクササイズのみを提供するのに対して、それだけでなく知識も提供するのが一番の目的である。



「なぜ、授業が必要か?」
1、新規入会者のほとんどが日頃の運動不足や肥満の解消を目的としているが、その多くがトレーニング初心者であり、その目的をスムーズかつ安全に達成するには正しい知識と適切な指導が必要となる。

従来のレッスンではエクササイズの一方的な供給のみで、初心者は受動的になりがちで、インストラクターに疑問点を質問しづらいものである。増して、あまりに知識が乏しい場合、疑問すら生じない。

また、退会者のほとんどは目的を達成したり、何かを得たりして満足して辞めるのではなく、何も得ぬまま、初心者のままに退会していくのが実際の所であろう。

しかし、このレッスンを受ければ、退会しても少なくとも知識は残るし、また、それが退会防止や再入会への動機付けにもつながるだろう。


2、機械的にひたすらトレーニングをこなすより、知識に基づいたトレーニングを行う方が明らかに効果的で、楽しいから。



「なぜ、3ヶ月間限定か?」
1、筋肉の細胞は約80日間で半数が入れ替わるので、3ヶ月間トレーニングすれば、その効果を明確に実感できるから。

2、決められた期間の方が目標を持ちやすく、漫然としたレッスンになりにくい。

3、期間が限定されることによって、コーチの「ネタ」も尽きることがなく、新鮮で手抜きにならない。



「なぜ、特定の筋肉か?」
1、1回のレッスンで全身の筋肉を鍛えるには無理があり、特定の筋肉に限定してトレーニングする方が効果的だから。

2、エクササイズがどのように目的の筋肉に作用しているのか、理解するためにも鍛える部分は絞った方が良い。



「なぜ、チューブトレーニングか?」
1、初心者を対象にしているため、安全で扱いやすく、また、初心者には適度の負荷を持つチューブが最適であるため。

2、当スポーツクラブのレッスンにはチューブトレーニングがないので、目新しく人気が出そうだから。



【マスターの解説】
つまり、若き日のマスターは退会防止プログラムを考えたので、俺にやらせてくれと言ったわけです。

今を遡ること十数年前、当時の業界では入会率も凄かったけど退会率も凄まじく(今もそうかも)、安売りキャンペーンを打っては入退会シャッフルするような状況に対して、オリエンテーションと言ってもマシンの使い方の説明程度のフォローしか行っていませんでした。

次々と入っては辞めていく人達を見て、「退会率を下げるプログラムを開発すれば大発明だ。そして、それだけで仕事になるし仕事自体が退屈じゃなくなるな」と思いついたのです。

しかし、今のマスター視点で見ても、「君、ホントに学生?」「今の俺より賢くね?」と危機感を覚えます。「増して、あまりに知識が乏しい場合、疑問すら生じない」・・・って、子供が言うことか!?

現在では、退会防止策として知識の提供を取り入れたスポーツクラブも存在しますが、当時は存在せず、恐らく日本で最初の授業型レッスンだったと思います(※)。

で、トントン拍子に話は進み、結局、全6回のプログラムに煮詰めて、レッスンを任される事になり、授業の構成やそこで使用するレジュメを作成する作業に追われる日々を送りました。

スポーツクラブでアルバイトすると一言で言っても、この様なスタンスやアプローチで臨んでいたので、今は客としてそのような施設に足を踏み入れても、カカシや立ちんぼのような勤務態度のスタッフには、敬意を払おうにも払えません。

さて、いよいよ、次回からそのヤングマスターお手製レジュメを使用して授業を再現してみましょう!


※ 以前、スーパーM野さんが、「俺が日本初!」って言っていましたが、たぶんソレより前。最も日本に根付かせたのはM野さんですので、本人の前では要らぬ事はいいませんでした。

本編へ続く



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