心の旅サプ-中編
それは2,009年の話。

8月23日(日)に幕張で開催される「世界ウエイト制」に出場される松岡先生の晴れ姿を観に行く旅行に子供がついて来ると言って聞かない。4年に1度の空手のオリンピックとも言える世界戦観戦や旅そのものが子供の成長に繋がるだろうと言う目論見で連れて行くことにした。

楽勝だろうと。

8月22日(土)
夕方から新神戸発の新幹線に乗る為に超スピードで発送業務を終えなければならないが、イベントが控えている時に限って忙しいものだ(ありがたや×ありがたや)。

何とか終えて、子供の到着を待っていると昔の生徒(♂)から今から会いたいとの電話が!

「弥五郎よ・・・お主は当の昔にワシを超えておる。ワシから学ぶこともないだろう。女生徒ならまだしも、そう慕ってくれるな」

とムゲに断っても良かったが、実はベストタイムで仕事を終えてかなりの「余裕を稼いでいた」ので、サプマスで会うことにした。学生時代も優秀だったが、社会人1年生の頃から出社時間をかなり早めて出勤していた元生徒はそのお陰か、それから更に立派になっていた。

ミーティング後、新神戸へ向かい弁当と土産を物色し、それでも60分以上早く着いたので、窓口で数本早い指定席にチェンジしてもらった。子供が後ろの座席の人にチョッカイを出すのを想定し、一番後ろを指定。

ホームでワイフと別れていざ乗車。
ワクワクが見て取れるご機嫌の子供が他の人達に迷惑をかけないか心配だ。

神戸駅を出発してしばらくは、元気をみなぎらせてはしゃいでいたが、新大阪に近づくにつれ表情が段々と不安げなってきた。

「やっぱ、やめとくんやったー!!ママんとこ帰ろうよ!」

ウォンウォンと号泣。
しまった!なんてこった!まさかこうなるとは。

取り敢ず連絡路へ連れ出す。
どうする?どうすれば泣き止む?

説得すれど、子供の意志は固い。
新大阪で引き返すか?

そうだ!
「ひとまず、東京へ行って従兄弟達とハンバーグを食べよう!そして、ハンバーグを食べたら一緒に帰ろう」
と言う提案が妙に気に入ったようで、すぐに泣き止み泣き疲れて寝てしまった。
いい気なモンだ。


品川着〜。
チェックイン。

ホテルの部屋がもの凄く綺麗だったので、一転、「やっぱり、泊まっていく」となり、ロビーに来ていた従兄弟夫婦とハンバーグ屋へ。

「俺も土産買っていかないから、絶対に用意しとかないように!」
と従兄弟に念を押していたが、これ神戸土産〜♪と渡すと、向こうもチャッカリ用意してくれていた。血は争えない。マスターと違って(?)人見知りしないので、終始ご機嫌な子供。

マスターのもう一つの土産は、古い写真の数々。
従兄弟はマスターの従姉妹の息子(※)で、マスターは6歳まで従姉妹家族と同じアパートに住んでいたのだ。その頃の貴重な写真や若くして亡くなった彼の祖父の写真を見せたかったのだ。案の定、見たことがなかったようで、喜んでもらえた。

ちなみに従兄弟夫婦には、マスターは無頼漢に映ったかも知れない。3月に会って以来、まだ2度目の対面である従兄弟のワイフをいきなり、あだ名で連呼していたからだ。これは、今後も会う機会が限られるであろうから、少しずつ時間をかけて慣れていくと言う過程にかける時間が勿体ないと言うか無いので省いてしまえと言う判断だったのだ。

従姉妹夫婦と別れ、ホテルの部屋に戻って、数分。
やっぱり、ママんとこ帰ろうよ!ママと寝たい!

いよいよ困った。どうにもこうにも説得に応じない。
またも、トンチを効かさねば。

普段テレビを観せていないので、観せれば夢中になるかも知れない。後で1,000円請求されるがアニメチャンネルをつけたら案の定、観ているうちに寝てしまった。



2,009年8月23日(日)
空手世界戦当日。

その前に、台場へガンダムを観に。本当は平日である翌日に行きたかったが、翌日はアソコへ行かねばならないので、仕方なく向かう。

鬼のように混んでいたせいで、予定が大幅に狂った。イッパイイッパイや急いだりするのは苦手だ。何としてでも、試合時間までに幕張へ着かねば!思い出せ!カタカタと脳内検索。台場→有明でゆりかもめ下車、国際展示場前→新木場→幕張が良かろう。

舞浜を通過する際に一応尋ねる。
「帰りにエレクトリカルパレード観に行くやんな?」
「いや、ホテルのプールがいい!!」


2月に花澤選手の世界タイトルマッチを観に来た時にウロウロした経験が役にたったようで、開会式よりもかなり早くついた。

しかし、無駄なく来たせいで昼食を摂らせていなかった。朝食はと言うと、いつもなら旅行中はどこかのブッフェでたらふく食べて10時過ぎからゲーム開始のところ、今回は極々簡単に済ましていた。

子供の空腹は、ピークに達していたので、売店のアンパンを一度に2個、おかしを一袋と普段からは考えられない量を子供は平らげた。

無事、観戦を終え、閉会式を待たず帰路へ。
もう一度、訊いてみたが、やはりプールが良いらしい。

東京着。
確か品川へは、東海道本線の方が早く着いたよなぁとホームへ移動。
子供がお腹痛いと訴える。

乗車すると、間髪入れず、子供が大量に嘔吐!
しかも、ハンパない量で、抱いていたマスターの半身もゲロまみれ!

おぉ。これぞ今までのピンチなんざどうでもいいくらいの最大のピンチ。
どうすりゃいいんだ?最善策は?セカンドベストは?優先順位は?てか、こればかりは、考えても無理じゃね?

子供を叱って誤魔化す?
まだ扉は開いている。叱ったり、介抱する振りをして降りる?

品川には帰りたいし、子供を叱るのは筋違いやし、責任も取りたいし、俺ゲロまみれやし、カッコ悪いし・・・でも一番カッコ悪いのは逃げることだ。

不退転の覚悟を決めて、持てるありったけのティッシュや顔ふきペーパー、汗ふきタオルを使って、まず車内を清掃しつつ、子供も拭き取る。幸運なことに、トイレのある車両だったので、トイレットペーパーを拝借して更に清掃。

来たときよりも美しくなったので、心に「余裕」が生まれた。
なんとか乗り切ったこのピンチをプラスに変換せねば!

子供へ質問する。
お腹が痛くなった時、どうすれば良かったと思う?
早めに言ってトイレに行く。無理なら車内でなくホームで吐くと言う自発的回答が得られたので、何だかこのトラブルが無駄でなかったような気がしてきた。


ホテルに帰り、原因へと考えを巡らす。
朝が少なく、昼を遅くに慌てて大量に食べた。アンパンがロングライフ仕様だったのも悪かったかも知れない。しかも、最後に冷たいソフトクリームを食べた。これらが重なったせいだろう。

と言う事で、まずは晩ご飯と朝食を調達しに行こう。
今回は、大人の都合を押しつけ過ぎたようだ。もっと「余裕」を持たねば。

そう、この自分が未熟だったという事実に気付かせるために、トラブルは与えられたのかも知れない(発端は自分だけど)。

ゲロを吐ききった頃から、みるみる子供は回復して元気になったので、プールへ行く気満々だった。一過性の消化不良だったので、プールへ。

夜。散々、泳いだので疲れて寝るかと思いきやまたも「帰る!」、「ママと寝る!」が再発し、散々四苦八苦した挙げ句、何とか就寝。今日は何度戦ったことか、思ってた以上に大変だなぁ〜。

完結編(番外編3)へ続く



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オラ東京さ行っただ2009-Part.2
オラ東京さ行っただ2009-Part.3
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マスターの旅サプ2009-2-後編
マスターの旅サプ2009-3-前編(基本編)
マスターの旅サプ2009-3-中編(番外編1)
マスターの旅サプ2009-3-後編(番外編2)
マスターの旅サプ2009-3-完結編(番外編3)