Q:ジムに行くと貸し出し用のベルトがあるせいか、トレーニングベルトをしている人が多くみられます。僕もした方がよいでしょうか?

トレーニングベルトは、ただ巻いているだけは意味が無く、明確な目的を持って正しく使用すべきです。

ベルトを巻く事で腹圧を意図的に高められれば、腰椎が安定するので、前回紹介した腰周保護の目的の他に使用重量の向上目的で好んで使用される事が多いようです。

ただし、高重量トレーニングに挑戦する場合も、腰部保護の場合と同様に正しく腹圧を高めつつ、それを維持しないと意味を成さないので注意が必要です。

さてさて、今回はベルトをしない意義について考えてみましょう。

【競技者、アスリート編】
マスターの知る限り、サプマスアスリートにおいては、ベルト使用率0%です。別にマスターが勧めた訳ではなく、彼らがそれぞれに辿り着いた理由は、至って単純。


「競技練習や試合の時にベルトをつけない」
当たり前と言えば当たり前ですが、試合の時にベルトは巻けません。なので日頃からベルトに頼らず、丈夫な脊柱起立筋と腹圧を維持しないといけません。


「競技練習や試合の時に一々、腹圧を気にしてられない」
上の話と全く同類の話ですが、実戦においては意識せずとも、適切な緊張と弛緩のバランスがとれている事が望ましいので、腹圧一点張りの癖が付いてしまうのも一考モノです。


「連動性や力の伝達は腰を通す」
ボート競技以外では、必ず左右の腰の捻りを介して動作が成される事が多いです。また、下から上への力の収斂も腰を介します。あまりにガッチリと腰を固めてしまうことに慣れてしまうと、競技における動作の連動性や力の伝達に悪影響が出てしまう可能性があります。


他にも色々理由はありますが、ウエイトトレーニング時にベルトを巻かないアスリートは多いものです。逆に嫌味を言うと、ニワカアスリートのベルト使用率は高いようです。


ただし、これらの話はアスリートならずとも、「何らかのパフォーマンスアップ目的でウエイトトレーニングを行うならベルトはしない方がいい」と言った二元的な単純論ではありません。

腰の捻りが少ないボート競技や自転車競技などは、ベルトを巻いてウエイトをガンガン行った方が成果が上がる可能性もあります。また、オフシーズンの身体作りや停滞期、根本的な筋力不足解消目的においても、ベルトを巻いて高重量トレーニングを行うと良いかも知れません。

結局のところは、ウエイトトレーニングによるゲインを競技や日常生活(次回のネタ)に還元できるか否かが重要なので、「現在の能力⇔目的⇔結果」等々を相互に吟味してトレーニングベルト使用の有無を決めるのが一番でしょう。

後編へ続く



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