Q:ホエイプロテインの成分には「グルタミン(酸)」が含まれているものが多いようです。手元にあるKentaiのホエイでは成分の15%がグルタミン酸となっています。
これは単体で販売されているグルタミンと同じ物質と考えて良いのでしょうか?そうだとすると、ホエイを摂取する際にグルタミンを同時に(あるいは近い時刻に)摂取する必要はなくなるのでしょうか?


確かにホエイプロテインにはグルタミンが含まれますが、前回の回答した通り、かなり甘く見積もっても20gのホエイプロテインには1g程度のグルタミンしか含まれません。

なので、ホエイプロテインをグルタミンサプリメントやグルタミンの安価な供給源として捉える事はできません。

同様の他のアミノ酸についても、ほぼ同じ事が言えるでしょう。
例えばホエイには、BCAAが豊富に含まれるので、プロテインのラベルにでかでかと、「1kg中BCAA200g含有」とか書いてある製品を見かけたりします(正確に計算するとそんなに多くならないはず)。

そのようなラベル表示の製品を使用している人の中で、ホエイプロテインを摂取していればBCAAは必要ないと勘違いしている人が多いのが現状でしょう。

確かにBCAA含有量が高いホエイの栄養価は、古典栄養学的には高いと言えます。

しかし、ホエイプロテインがBCAAの完全な代替になる事は、現実的にはありえないでしょう。

まず、1回のホエイ使用量に対してBCAA含有量が低い点。

次に、各種アミノ酸の取り込みには、競合がある上、トランスポーターの数に限りがある為、含有する建前上のBCAAを全て血中に送り込む事ができない点。

これら2点から、目標とする臨床的かつ科学的なBCAA血中濃度に高める事が難しい事がわかります。この為、主にBCAAが持つ運動中に摂取する事で摂取者の運動パフォーマンスを高めると言うメリットのひとつは、ホエイプロテインでは再現できないだろうと理解できると思います。

しかし、如何にもこのプロテインを飲めば、BCAAもグルタミンも要らないと思えるようなラベルのプロテインを見かけるのは何故でしょう?

「優れたスポーツサプリメントは、結果が出る→結果が出るから再び売れる」と言う流れが正しいはずで、メーカーはユーザーに結果を出させてあげるアプローチが本来は正道です。

パフォーマンスアップなどの結果を得るには、プロテインではなくBCAAなどのスポーツサプリメントであるはずです。なのにお得感ばかりを前面にした売り方は、ユーザーにパフォーマンスアップや成果をもたらさないので、結果的には同じ製品のリピート率を下げるだけでなく、自社のグルタミンやBCAAが売れないと言うジレンマを抱える事が予測されます。

事実、ホエイプロテイン販売のみに頼り切ったメーカーは、3〜4年前から続くホエイ原価の高騰の際に大きく売上げと利益率を落としています(※)。


そんな訳で、ホエイプロテインをBCAAやグルタミンのサプリとして捉えるのは早計です。

ですが、パフォーマンスアップは期待できなくても、マイルドで安価なBCAAの供給源としては優れているでしょう。BCAA含有量が多ければ、筋合成を高める作用やインシュリンによる同化作用が普通のタンパク源よりも高い可能性があるからです。

上記は、特にBCAAが強化されたような特殊な製品の方が可能性が高いので、基本的にホエイプロテインは全種類のアミノ酸を広く浅く含む安価な栄養補助食品として利用するのが賢いでしょうと言う話でした。

※ ユーザーを混乱させたり騙したりするのではなく、ユーザーを育てるようなアプローチをしていかないといけないと言う良い例



【サプリマスターが解決!】
#1「BCAAが無い!&水分補給
#2「入院中の見舞いサプリ
#3「クレアボルが無い!クレアボルを買えない!
#4「テストステロンブースターの使い時
#5「ローカーボか?ローファットか?
#6「BCAA&C3Xの溶かし方
#7「ボトル製品のデッドスペース有効利用
#8「たまにある相談 Part.2-フォロー編
#9「たまにある相談 Part.2-基本編
#10「たまにある相談 Part.2-実践編
#11「クレアチン製品の選び方-前編
#12「クレアチン製品の選び方-後編
#13「マッハ6がない!-前編
#14「マッハ6がない!-後編
#15「トライアスラーのサプリ選び
#16「ノンフレーバープロテイン対策-1
#17「プロテインのラベルマジック-前編
#18「プロテインのラベルマジック-後編
#19「UP!の仕事への応用
#20「アイソコア・パック攻略法