乳酸菌などのプロバイオティクスを多く含む食品、あるいは、食物繊維などのプレバイオティクスを多く含む食品をすすんで食べる「健康法」を誰もが一度は試した事だろう。

これら食品やサプリによる健康法において、期待したほどの体感がなく、食品による「体質改善」の夢が程遠い事を実感するケースがあるのは、そもそもの単位不足である事に端を発する場合が多い。

そこで、高単位のプロバイオティクスを送り込む手段として考案されたのが、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスと言う手法だ。
シンバイオティクスは、腸内でのプロバイオティクスの数を増やす作用が期待でき、実際にそれらを糧とする腸内有益細菌の増殖を助け腸内細菌叢バランスを改善する事が確認されている。

腸内有益細菌の勢力拡大による腸内細菌叢バランス改善作用は、腸管での栄養素の分解吸収の向上のみならず、免疫力の増強やアレルギー反応の緩和に大きく貢献する。

しかし、この魔法のような作用も、弱点を持つのだ。

シンバイオティクスやそれに近い組合せによって、腸内細菌叢バランスが改善されると、さも我々は、「体質改善が成された」、「腸内環境が改善された、是正された」と錯覚してしまう。

実は、この腸内細菌叢バランス改善作用は、一過性のものでしかないのだ。研究によれば、シンバイオティクス並びにシンバイオティクス類似物の摂取をやめると、数週間で元の状態に戻ってしまうと言うのだ。

つまり、体質が改善された、腸内環境改善が達成されたと安心して、シンバイオティクス関連物質の摂取をやめてしまうと、元の腸内環境に逆戻りし、免疫賦活やアレルギー反応の緩和も望めなくなるのだ。

始めの話に戻ろう。
腸内細菌叢のバランスと言うのは、一種の生態系であり、乳幼児の時期に厳然とした勢力図が決まってしまうのだ。つまり、一時的に腸内有益細菌が勢力を広げたにしても、元から決まっている縄張りは覆らせる事はできないと言う事になる。

では、我々が後天的に理想的な腸内細菌叢バランスを手に入れる事は、不可能なのだろうか?

番外編-4へ続く



【関連】
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シンバイオティクスって何だ? 後編
シンバイオティクスって何だ? 番外編-1
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