「多核体とは何か?」

今回は、少々、記憶を昔にさかのぼり、中学の理科「細胞分裂の図式」を思い出してみましょう。

通常の細胞は、「ひとつの細胞内にひとつの核」があり、その細胞内の核と細胞質が分裂する事で、細胞分裂が起こります。



ところが、多核体と呼ばれる細胞では、核は分裂すれども細胞質は分裂せず、結果的に複数の核を持つ特殊な細胞があります。

長く巨大な細胞である筋線維は、何を隠そう多核体なのです。

へ~。
でも、何故、筋線維は多数の核を持つのでしょうか?

「Nuclear Domain説」

最近では、ひとつの核が支配できる細胞体積に限界があるといわれています。つまり、核を一つしか持たない細胞ひとつひとつの大きさには限りがあると言うことです。

もしも、核がひとつしかないなら、筋線維が肥大して太くなっていくには、すぐに限界に達してしまうでしょう。限界を超えて細胞が肥大するには、核の数を増やすしかありません。そして、動物実験においては、筋線維における核の増殖が確認されています。



実は、ここでもサテライト細胞が活躍します。現在では、トレーニング後の修復過程において、活性化したサテライト細胞が筋線維に融合する事で、筋線維に新たな核を供給していると考えられているのです。

ウエイトトレーニングなどの抵抗運動による筋細胞内の核の増殖後に、トレーニングをやめても、増殖した核の減少が起きず、増えたままなら、再びトレーニングを開始した時に元のサイズに戻るのが早くなるはずです。

これが第二のマッスルメモリーのメカニズム「核の増殖による細胞体積支配領域の拡大説」なのです。

マッスルメモリー Part.4へ続く


参考:究極のトレーニング



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マッスルメモリー Part.3
マッスルメモリー Part.4