旅の目標を掲げたは良いが、3日経っても何一つ達成していない。
このままでは、いけない。
しかし、ワイフは修学旅行以来の長崎なので、まずは、ベタにグラーバー園。
マスターは、十数年前にお婆ちゃんが死んだ時に、父と火葬場を抜け出して来た時(※)以来だ。改めて廻ると、これが結構面白かった。グラバー園の狛犬のヒゲが、キリンビールの麒麟のヒゲのモデルになったなど、どうでもいい知識が身に付く。
写真は「びわソフト」。
他にザボンジュースとびわジュースを飲み、長崎焼酎「かぴたん」を購入。
すっかり、ただの観光客と化す。
夕食を一族で囲むためだ。
親族の集合まで、時間があったので、辺りを散策。
ん?この神社。何回か来た事あったなぁ?
長崎くんちの会場、諏訪神社では無いか。
こんなに近かったのか。狛犬バリエーションに感動。

急遽、中華街の中華料理屋へ。
あくまで、ベタに徹っし、ちゃんぽんと皿うどんを押さえる。
いとこの子供と自分は、16分の1・・・。
自分の子供とイトコの子は、32分の1・・・。
血縁度の計算をしながら、顔や性格を見比べつつ、メシを食べた。
食後、夜の中華街を歩く。
朝。チンチン電車で移動。
2日目に通った出島ワーフで、散歩と朝食。
自分の意思だけで、長崎へ来ている訳ではないので、中々、食事の誘いを断りきれず、4日目になってしまった。
自分の中の長崎の位置付けの旅が思うように進んでいない。
いよいよという時に、本家に呼び出される。
母が是非、「いけ洲居酒屋 むつ五郎」で、魚料理を食べさせたいとの事。
しかし、食べ終われば、半日が終わってしまう。
コレコレと事情を話し、母を伴って、平和記念公園へ。
大人になってから、自分の意思で訪れてみたかった場所のひとつだ。
現代では、情報リテラシー能力如何では、自虐的歴史観刷込教育から抜け出す事が可能であり、戦争や原爆投下に対する解釈を人それぞれが自由に選択できるだろう。
そんなワケで、平和祈念像の前で、小学生の一団に、憲法第9条を唱和させている光景に出会いゲンナリするも、筋肉ムキムキの平和祈念像の顔がアノ人に似ている事に気付く!
この身体とこの顔!
筋肉の神様「石井先生」がモデルだったのかぁ!
長崎原爆資料館へ。
修学旅行の時も、高校時代広島へ旅行した時も、原爆資料館を訪れたが、自分に関係がある(※2)にもかかわらず、流すよう逃げるように館内を通過したものだった。
自分なりの原爆観や戦争観を持てるようになって自らの意思で足を踏み入れると、そこは別世界だった。
今度は、直視し、目に焼き付けて帰らないといけない。この凄惨な光景の後に、自分の命が繋がっていったのだと。しかし、半分も頭に入らない内に、今まで味わった事の無い悲しさと口惜しさがない交ぜになったような感情に支配され、嗚咽が始まった。つられて、母ももらい泣き。「つまらない大人」になってしまったのか、多くの修学旅行生や観光者の目を気にして、母に顔を埋めて思う存分に泣かなかった事が悔やまれる。
とはいいつつ、青島に出張中の友人からのメールに、精力剤系の土産を催促しておくことは忘れていなかった。

シーボルト通りを観光かい?
いやいや、実は、シーボルト通りに親戚のお店があるのだ。
シーボルトの「松翁軒」に、切れ端が入荷していたので、大人買い。
長崎縁のものを子供に、身に付けさせようという考えで、そこから歩いてホテホテと、べっ甲細工の江崎べっ甲へ。途中、見知らぬ川面のおばさんに、57年の大洪水の話を聞かせてもらう(実はこんなんばっか)。

向うは、焼肉屋「七輪亭」。
焼肉?おいおい、コレでも、地元の肉しか食べないくらい焼肉にはチョッとうるさいぜ!?
訝りながら食べると、う・旨い。
これまで食べた名物に申し訳ないけど、一番美味かった。
肉を食べながら、イトコの息子の話を聞いた。
漫画道を貫くため、武蔵野美術大学を中退後、音信不通。
風の噂では、「漫画家として一角の人物になるまでは故郷の土を踏まない!」と頑張っているそうで、その話を聞いて、本日2度目の号泣・・・になる所、こみ上げる感情をビールで飲み下し、煙が目に染みた振りをしてタオルで目頭を拭くと言うB級ドラマばりのリアクションでクリア?
ついでに裏ルールのひとつもクリア。
従姉妹家族は全員、「素潜ラー」なのだ。
五島列島の無人島へ共に行く約束を取り付けたのだ。
夜は、従兄弟の家へインターネットをやりに。
サプマスの在庫状況を見るためだ。
約10年ぶりの従兄弟。
従兄弟は、
「せいちゃん。長崎は初めてネ?」
「(いやいや、お前が『くんち』出た時、観に来たヤロ!)・・・」
帰り際、
「また、名古屋行くことがあったら、泊まりに行くケン!」
「(コイツ、どんだけヤネン!)うん。任して!(※3)」
5月22日(木)「ジーン5日目」
長崎に来て、食べてばっかりなので、ウンコは、1日3〜5回。しかも、快便。
写真をお見せできなくて(撮ってないって!)残念だが、物凄い長さの一本物が出たので、ワイフや子供を叩き起こして見せ付ける。
2軒目のホテルは、有機栽培系自然食品の朝食で人気だそで、言われて見ると、美味しいような。
裏ルール通り、ちゃんぽんと皿うどん。
青島滞在中の友人の顔を思い出し、青島ビールをあおる。
さすが、一卵性双生児。
履いている靴が同じ!
これが双子のシンクロにシティ現象か!?
1ヶ月ほど、長崎に滞在予定の母を残して、かもめへ。
当初の予定と全く違った路線、完全なグルメ旅行になってしまったが、自分の気質や体質が少し理解できたと思う。そして、叔母や伯母が元気な内に、再び訪れ目標を果たし、自分自身のルポルタージュを完成させたい。
※ 父とグラーバー園から戻ってきたら、納骨も何もかも全部終わっていた・・・
※2 母が死んだら、写真の棟の下に眠る名簿に母の名が記されるワケ
※3 マスターは30年近く前に、愛知県東海市に住んでいた(今は兵庫県)
【関連】
長崎ジーン 〜ルーツを辿れ〜 プロローグ
長崎ジーン 〜ルーツを辿れ〜 前編
長崎ジーン 〜ルーツを辿れ〜 中編
長崎名物? #1「カステラの切れ端」
長崎名物? #2「くじらカツ弁当」
長崎名物? #3「カステラアイス」
長崎名物? #4「ザぼんちの謎」
長崎名物? #5「松前寿司」