クレアチン今更きけない「クレアチン」 中編
 我々の運動時のみならず、生命活動に用いられるエネルギー源はATPである。ATPは無尽蔵ではなく、体内に貯蔵されてはいるが、我々が高負荷高強度で運動を行った場合、ものの数秒で枯渇してしまう。

 ATPが枯渇すると、身体は活動できなくなるかというとそうではない。体内では、エネルギー源として分解されたATPの副産物であるADPからATPへとリサイクルが速やかに行われる。
 ハイパワーでの運動で枯渇したATPは、クレチンリン酸(ホスホクレアチン)によって速やかに再合成される。筋肉にはATPの3〜4倍のホスホクレアチンが存在するが、ATP同様にこれにも限界がある。

 高エネルギーを要求される高負荷条件下では、ホスホクレアチンの総量とその再合成量(率)が重要となる。そして、クレアチンこそが体内のホスホクレアチンとクレアチンの体内での総量を増加させるのである。事実、サプリメントとしてのクレアチンの継続的な摂取によって筋中の総含有量が15〜30%、ホスホクレアチンの総量が10〜40%増加することは、今日、アスリートの間でなくても広く知られている。

 つづく

【補足解説】
 ATPは、1個のPi(リン酸)を放出し、ADPに分解される事で、エネルギーを生み出す。ATPの副産物であるADPは、再びPiと結合してATPに再生される。高負荷環境下では、ADPはクレアチンリン酸から瞬間的にPiを受け取ってATPとして再合成される。つまり、筋中クレアチンリン酸の増加は、ウエイトトレーニングやスプリントなどの高負荷環境下において、利用可能なATPの実質的な増加を意味する。

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