MA−05「我が忠勇なるジオン軍兵士達よ、今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我等ジオンの正義の証しである。

決定的打撃を受けた地球連邦軍に如何ほどの戦力が残っていようとも、それは既に形骸である。敢えて言おう、カスであると!」


アムロやシャアが活躍した1年戦争のサイドストリーをフルCGで描く、「機動戦士ガンダム MSIgloo(イグルー)」の最終巻は、ソーラレイ発射後のギレン総帥のアノ演説から始まります。

のっけから、ファーストガンダムファン垂涎(すいぜん)の演出ですが、これだけにとどまりません。

この演説は、機動戦士ガンダムの劇場版「めぐりあい宇宙」のワンシーンなのですが、劇場版の演説の背景を良く見ると、量産に成功したモビルアーマー「ビグロ」が1機・・・また1機、とTV版にはなかった心憎い演出がみられます。

そして、このMSイグルー版でも、そのシーンがCGで再現されていまが(※)、ファンの心をくすぐる芸の細かい演出ばかりが売りではありません。

※ 写真の上半分は、「めぐりあい宇宙」版。下半分はMSイグルーのCGよる再現。予算等の都合かイグルー版は、パゾク級輸送艦が出てこない。

この最終話は、全巻中でも最も密度の濃い見ごたえタップリの作品です。
以下ネタバレ注意↓


MS−05B「MS(エムエス:モビルスーツ)イグルー」と銘打ちながらも、ガンダムはおろかモビルスーツがあまり登場しないのがこの作品の特徴でしたが、最終巻は「これこそが、俺達がみたかったガンダムだ!」と叫びたくなるほどのモビルスーツや艦艇、モビルポッドの大乱戦を目の当たりにできます。

ジオンファンなら、連邦軍の圧倒的な物量の前にムサイが1隻、また1隻沈められる度に涙を流すことでしょう・・・。

そしてついには、善戦虚しくNフィールドの要「空母ドロス」が轟沈してしまいます。補給の為に着艦すべき場所がなくなってしまったパイロット達の悲痛な叫び声が聞こえてくるようです。

さながら、
「画夢洒裸が沈むー!昼飯時の暇つぶしが維持できないぞ!俺達はどこにロムればいいんだー!?」って感じでしょうか?
悲しいー!

そして、大人買いでおもちゃ産業をささえる30〜40代を喜ばせる演出が続きます。

ア・バオア・クーに取り付いたRGM-79を見事に迎撃する旧ザクの姿が!第二線に回されながらも、大金星をあげるその2〜3秒のシーンにつられて、さぞかしプラモが売れた事でしょう(僕も買ってしまった)。

数え上げればキリがないくらい1年戦争風味満載の最終話ですが、少々残念な点もあります。まず、この最終話では、アムロのRX-78とシャアのMSN-02が激突した戦場Sフィールドではなく、Eフィールドが舞台なので、この大物二人は当然ながら出て来ません。

「それはいい!(by大佐)」
しかし、少し納得いかないのは、マニアを対象としているのに、Eフィールド防空大隊のマサヤ・ナカガワ中尉が駆るMS-06R-1Aがチラリとも登場しない事です(※※)。

※※ やはり、予算と時間の都合であろうか、イグルーには06Rが出てこない。しかし、何とかして活躍させてプラモを売るべきだった。

もうひとつは、バリバリのMS乗りのおっさんの活躍がないところです。きっとファンの多くは歴戦の勇士カスペン大佐が駆るMS-14Bの獅子奮迅の機動戦を期待していたはずです。

ところが、モニク特務大尉が「ツンデレキャラ」の本命であると言う予想を大きくすかし、カスペン大佐がツンデレだったと言うオチは、なんとも悲しい。

そんなワケで、オススメです。



【余談】
 僕が一番好きなシーンは、決死の決戦のためにEフィールドへ向う中、これが最後になるかも知れないという感慨を込めて、艦の副長が船長に対して敬礼するシーンです。それに無言で答礼する艦長・・・年齢差を超えた男の友情がぐっと込み上げます。



【関連】
MS Igloo 1巻感想(ネタバレ含む)」
MS Igloo 2巻感想(ネタバレ含む)」
MS Igloo 3巻感想(ネタバレ含む)」
MSイグルー 黙示録0079 1巻
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「黙示録 1巻をシアタールームで観たという自慢」

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