サプリ塾を以前から愛読して頂いている方や「ホビー自然養鶏から考える実践栄養学」を履修済の方はご存じだと思うが、私は趣味で鶏を飼っている。

これはペットではなく、家禽として卵を採取することが目的。究極の美味しいグルメ卵を目指しているのではなく、家庭菜園と果樹園で発生する害虫や失敗作、生活から日々発生する残飯や米ぬか、庭に次から次へと生えてくる雑草などをタンパク質源に転換できないだろうかという試みが元になっている。

卵に含まれるタンパク質は、鶏が餌から摂取したタンパク質に由来する為、雌鶏の食欲は旺盛である。草食動物のように腸内細菌が食べた草からタンパク質を合成するわけではないからだ。



卵の殻はカルシウムを主として形成されるが、このカルシウムもまた餌由来である為、出来合いの配合飼料や養鶏場での餌にはカルシウム源として、カキ殻が多量に配合されている。養鶏場においてはこの配合飼料を与えられた鶏が非常に高い産卵率で卵を産み落とす。

つまり、穀物とカキ殻さえ与えておけば、卵の高い生産率は保たれ、採肉鶏は丸々と大きくなるわけだ。肉や卵を採るために、草食動物のように草を与える必要はないのだ。

ところが、実際には鶏の草への渇望は非常に大きい。鳥小屋の外へ放とうものなら、終始落ち着きなく、あちこちの雑草をむさぼるのだ。自然な状態では1羽当たり1日バケツ1杯の雑草を食べるという。



ロクにタンパク質もカルシウムも含まない雑草や野菜の葉が大好物なのは、食物繊維を補給するためなのだろうと思っていた。繊維質を好む腸内細菌が鶏に緑餌を欲させているに違いないと。

しかし、餌の穀物にも多くの食物繊維が含まれている上、卵とは直接繋がりのない雑草を何故に大量に必要とするのだろうと、その食欲を目の当たりにすると、疑問が浮かぶ。

嘘か真か、ある実験では、鶏にカルシウム源を与えずにいると殻の形成不全が起こるが、草を与えるとカルシウムを与えていないのに見事な卵を産み始めるという。

仮説になるが、雑草には多量のカリウムが含まれるが、このカリウムが鶏の体内でカルシウムへと転換されることで、卵の殻が形成されているのだと結論付けられている。



鶏は毎日のように卵を産むが、自然界では卵1個に含まれるカルシウム量を毎日確保するのは難しい。

それを高含有するカタツムリや甲虫、両生類や爬虫類などの骨格を持った生き物たちを毎日何匹も捕まえることはできない。

人工的な餌であればカルシウム含有量を意図的に高められるが、自然界においてはカルシウム不足が常態である為、それを補う機構が体内に存在する可能性があるかも知れない。



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