〜食事に対するスタンス-2〜
「量より質」


イージーゲイナー第4の要素を産まれつき授かったか、努力の継続によって後天的に獲得したのいずれかで、消化能力がずば抜けて高い人は、年齢を重ねても、その能力が大きく低下することはないかも知れない。

しかし、ほとんどの人は、内臓機能という巨視的視点からも、各種酵素の生産量というミクロ視点からも、ある時点から低下が始まる。

前回解説した体脂肪蓄積の問題を考えなくても、30代後半からの筋肉増強は、20代〜30代前半のハードゲイナーが通過する「量をこなす」というアプローチは適さない。量をこなすと言うのは、文字通り食べる量を増やすことと、それを続ける事で消化能力のキャパシティを向上させることを目的としているが、年齢を重ねれば重ねるほど、キャパシティを増やすのは難しいと思われる上、途端に体脂肪として還元される憂き目に遭う可能性が高い。

従って、食事の量よりも質やアプローチに変化をつけるべきとなる。



1、回数でカバーする

一度に食べられる量と言っても、正確に言うと食べきれると言う単純な話ではなく、「完全に消化吸収できる量」の多寡が重要となる。その量が少ない人がいくら量を増やしたところで、無駄になるばかりか、健康や肉体年齢にも良い影響を与えない。

そこで、1回に沢山食べるのではなく、間食を増やして1日複数回の軽食を摂ると言うアプローチを採用したい。1回当たりの食事量を減らし、その分、回数を増やせば、消化吸収率が高まるだけでなく、体脂肪として蓄積されにくいという複数のメリットがあるからだ。

例えば、筋量増加期に900kcal追加したい場合、朝昼夕の3食に300kcalずつプラスするのではなく、それらの合間合間に300kcal相当の間食を食べることになる。



2、質を追求する

量をこなせない事に対しては、食事の質を追求することで、それを上回る効果を得ることができるかも知れない。

食材カテゴリーを明確化しよう

A群:身体を作るタンパク源
B群:サブのタンパク源:食欲を抑制する咀嚼が必要となる固形の食べ物
C群:グリコーゲン蓄積の為の炭水化物源
D群:脳や生理機能に必要な脂質
E群:野菜、特に身体や眼を護る色素を多く含むもの
F群:ビタミンミネラルの供給源

A〜F群を上手に組み合わせて、献立を決定したい。普通の人であれば、毎回の食事で全てをバランス良く摂取したいが、筋肉質な身体を目指す場合、目的や状況によって、全てを同時に摂取する場合と数組を組み合わせたいくつかのパターンを適時採用したい。

必須アミノ酸のプロフィールに欠陥があり、筋合成や筋分解抑制が期待できないタンパク源やタップリの油で調理した消化が悪そうなタンパク源、脂身ばかりの肉は避け、胃と腸で完全に分解されそうなタンパク質源を選ぶべきである。つまり、タンパク質だったら何でも良いと言うわけではない。

筋肉質で引き締まった身体作りに役立つだけでなく、肉体年齢や健康増進に役立つようなタンパク源や組み合わせを覚えて、単品に偏らないよう、それらをローテーションして食生活に採り入れたい。

その選び方に関しては、こちらをご参照頂きたい。健康的な食材や食品の組み合わせは、筋肉の為だけでなく、結果的に脳機能や健康増進に寄与し、拡大あるいは修正された認知力がまず第一にその事実を感知することになる。

#16へ続く



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