第2部「スピード作りが必要な競技のトレーニング」
Chapter2
「筋力があっても不十分」


ほとんどのスポーツに求められるスピード(速さ)を増やしたいのであれば、

=力積(Ft)を大きくする
=力を増やす
=力を長い時間作用させる

上のいずれかを満たさないといけない為、筋力を高めることで、「力」を増やす必要がある。

しかしながら、素早い動作の持続時間は、0.2〜0.3秒程度である為、筋力トレーニングにおける筋力の向上がそのまま運動時に発揮される「力」の向上になるとは言えない。最大筋力を高める必要はあるが、筋力の立ち上がり早くないといけない。

そこで、登場するのがバリスティックトレーニングである。

バリスティックトレーニングは、反発力を利用して強い力を発揮する能力を身につけるためのトレーニング方法だ。

例えば、スクワットであれば、しゃがみきったポジションで粘らずに、直ぐに切り返して爆発的に立ち上がる。この切り返し動作が重要で、できるだけ切り返しを早く行えるよう急速に力を発揮できるように意識しながら行わないといけない。その際には、降ろすときの筋力を利用する。

降ろすときの動作は、筋肉をブレーキとして利用しているが、筋肉は収縮させて挙げる時よりも、伸張しながら降ろす時の方が大きな力を発揮できるように作られている。生物としてはブレーキ能力の方が大切だからだ。故に比較的軽い重量でも、筋肉がブレーキとして作用する際は、速筋線維が多く動員される。

ウエイトを降ろす際の伸張動作によって動員された多くの速筋を利用して挙げる動作に利用する為、一気に反転させることで、普通の動作の倍近い力を発揮させることができる。

高重量のウエイトトレーニングで高めた筋力を活かすには、やや軽めの重量で、素早い切り返しを意識した反動動作のトレーニングや高度な技術練習を行うのが良い。



切り返しトレーニングの代表と言えば、プライオメトリックトレーニングであるが、これを行うことで古くからスプリント能力など短距離や瞬発系種目の記録が向上することが知られていた。

中長距離や持久系競技に筋トレは必要かと言う論争が起こるが、オーストラリアのシドニー大学で行われた研究結果から言えば、非常に価値があると言えるだろう。

中長距離選手にデプスジャンプ(プライオメトリックトレーニングの一つ)等を6週間行わせたところ、3,000m走のパフォーマンスが2.7%上昇した。これは距離では80m、タイムでは16秒で、6週間という短期間では驚異的とも言える変化であった。

この現象は持久力の変化ではなく、一歩一歩の力が改善され、ランニングエコノミーが向上したものと考えられる。



その他:
良質な動作を身につけるには、同じ動作を繰り返す為の筋力が必要で、質の高い練習を実現するには筋力アップが必要。そして、怪我をしない為の基礎体力とコンディショニングとしての筋力トレーニングも大切である。

#11へ続く



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