陸上番外編-リレー170m
#4「2015-走力トレーニング編」


〜トレーニングプログラムコンセプト〜

まず、100mのスプリントもままならないレベルだが、その状態から200m近い距離を走れるように、身体機能と技術を転換しないといけない。

8月初頭から、9月下旬までの数週間の間に克服できることは少ないので、課題を整理しつつ、取捨選択する。最優先事項は、スピードでもテクニックでもなく、持久力の増強である。パワーやスプリント技術などの強化は考えず、スタミナ増強のみに集中する。

一般的に「持久力」とは、動作継続時間が長い軽〜中強度の有酸素的な運動のイメージが強いが、ここでの持久力とは高負荷環境下における高強度動作継続時間の持続力を指す。つまり、無酸素運動の継続時間の延長を目指す訳だ。

その為には、

・心臓血管系の強化
・耐乳酸性強化
・一週間の運動「量」にベル型の強弱を付けることで、充分なクレアチンリン酸とグリコーゲン貯蔵を果たす

等々が重要となる。



〜持久力アップ編〜

#8で書いたが、トラック一周を160mと勘違いしており、かつ、バトンパスのテイクオーバーゾーンのことが頭に入っていなかったため、160mを走れれば良いと思い込んでいた。先の100mのタイムから、160mなら20秒かからないと言う単純計算になった。

この為、25秒間の連続運動を保つことができれば、良いだろうと見込んだ。

全力で160m走る練習をした場合、1回当たりのダメージが大きく、また、本数の低下から運動量は少なくなり、当然、ダメージが大きいと同じ強度で翌日も練習することは不可能になる。と言う事で、全力走の翌日以降は、強度を弱めた持久力アップの為の練習を行う。

それが先の見込み計算からの25秒間走だ。

まずは、ストップウォッチを持って、25秒間走り続ける。走り終えたら歩きながら65秒のインターバルの後、再度、25秒間走り、また、65秒間歩きながら休む。・・・の繰り返し。初期は走り切ることだけを目標にし、徐々に強度を高め、最終的には全力の8割程度の速度で走り、心臓と筋肉の耐久性を高めた。これに加え、日によっては160mのイージー→ハード走を行った。

初期に160mと思しき距離を全力で走った場合、走り終えた後に腹というか肚が冷たくなる感覚を覚えたが、これは実際に内臓の血液までもがかり出された為に一時的に内臓の温度低下が起こったと思われる。それまでの運動習慣に適応した血流量、赤血球の質(数と大きさ)では、対応しきれないことが判った。

しかし、驚くべき事に、数週間での適応は難しい、無理だと端っから疑って取り組んでいたにもかかわらず、最終的には160mを7〜8割の力で走った程度では全く息が切れないほどに持久力が改善された。



〜スプリント〜

トラックや公園で160mを全力で走ると言った単純な方法やそのダメージが残る翌日にミニハードルなどの技術練習を行った。

オーバートレーニング気味でダメージが残り続けているのが気になったので、全力走自体の能力向上はそれほど問わず、予定以外の日に全力を出すことを控えていたが、他のリレーメンバーの自主練に参加させてもらう度に、ついついカッとなって力を込めてしまい、ちょくちょくハムストリングスを痛めてしまった。



〜思わぬ収穫〜

河川敷トラックで、娘とハンディを付けた競争をしていたのだが、その際、どうしても最後の距離が詰められず、かといって負けて良いとも思わなかったので、何とかならないか極限まで集中したところ、偶然にも重力を利用して加速することが出来た。後日、その感覚を再現することは出来ぬかと、スプリントトレーニングマシンのチープな代替として始めた鉄棒またぎを繰り返す事で、これまた偶然ではあったがコツを掴むことができた。

ホンの僅かな前傾による重心の変化が、明らかに脚を速くしているのが判る。しかも、回転速度が上がっているにもかかわらず、その後のハムストリングスへのダメージがこれまで以上に酷くなった。一見、四頭筋の関与が増えたように思えて、脚の裏側の利用率が一層高くなったのだ。

ともあれ、スプリント能力が期待に反して伸び、その分、肉体に対する負担は大きくなった感があった。



〜余談編〜

実は選手不足で私のワイフも地区の第二チームに参加した。40歳の女が約100m初挑戦に至るまでの練習録はネタにならなかった。短距離は勿論未経験だが、白髪1本生えない化け物でスプリントトレーニングマシン初体験でも楽々適応する運動神経の持主なので、速筋体質ではない割には良い走りをしていた。

#11へ続く



【Ex】
スポ根の9月

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