ホビー自然養鶏から考える実践栄養学-中編

後から投入した鶏の雛が先輩達に殺されてしまわないように、雛の身体をできるだけ大きく丈夫にしたい。その際、餌の量や種類を増やすのではなく、先輩鶏と共用のパッケージに一工夫することで、その目的を達成するのが理想的である。

そもそも、人間などは欲望に任せて食べ続けることが比較的容易ではあるが、動物は満腹中枢や餌の好き嫌いに正直だ。胃袋の容積と脳の判断は決まっており、一定以上は食べてくれないので単純に餌の量を増やしたところで、何の結果も得られないだろう。そこで参考になるのは畜産における研究結果である。

畜産の分野においても家畜が食べられる量の限界という同じ問題があり、餌の量は変えずに大きく育てるにはどうすれば良いかが課題となる。ホルモン剤などの薬物の話を抜きにすると、餌の質を高めると言う策が登場する。

しかし、えさ代が急騰するような素材では、利益が目減りしてしまうのは明かである。


〜アナボリズムを高める栄養素添加〜

そこで登場するのが、家畜のアナボリズムを刺激するような添加栄養素の存在である。それが、ロイシンとアルギニンの組み合わせである。ロイシンが筋合成を刺激してアナボリズムを劇的に高め、アルギニンが摂取栄養素の骨格筋への輸送を強化すると言う仕組みだ。餌の量を増やすことなく、確実に食べきってくれるこれまでと同じ餌の量で、大きなコストをかけずに家畜の成長に貢献する栄養素の組み合わせが実用されているのだ。

その実例を応用したのがHALEOの「マッハ6」である。

マッハ6は、アナボリックアミノ酸「ロイシン」を主体として、インシュリン関連を強化改善するシニュリンPFとALA、栄養運搬能力を高めるアルギニン&シトルリン&ブドウ種子エキスという関連性の高いリレーショナルスタックによって、同じ食事内容であっても、マッハ6を加えることで食事からの栄養素が筋肉に運搬されて筋合成に使われる率を高めてくれる仕組みを持つ。

このマッハ6を雛の餌に加える。



〜消化吸収を高める栄養素添加〜

マッハ6やアナボリックな栄養素の効果は素晴らしいが、そもそもそれが最大の効果を発揮するのは、摂取栄養素が腸管にて完全に消化吸収された時である。食べ物の質がどんなに高くても、それが血中に到達しなければ意味がないのだ。

と言う事で、腸内細菌叢バランスが確定していない雛の消化能力を助けるべく、HALEOの「クリア」と「VIVO」も与える事にした。



〜方法〜

オカラと米ぬかをブレンドしたものに、マッハ6をミキサーで粉砕した粉、クリアとVIVOのカプセルの中身を混ぜ込んだ。

もちろん、良好な腸内細菌叢形成には、自然の土をつつき、様々な菌や虫を腸管に摂り込むことの方が重要なので、充分に外で遊ばせつつ、ミミズなどの生き餌を与えた。

鶏の栄養素摂り込みにおけるインシュリンの働きは解明されていないが、少なくともインシュリンは関与しているので、マッハ6のシニュリンやALAも役だったものと考えられる。ただ、今回のケースでは、マッハ6の作用におけるメインはロイシンの筋合成刺激と血流増加ブレンドによる骨格筋への栄養素輸送であるものと思われる。



〜結果〜

仮説は上の通りであるが、結果として雛たちは、先輩鶏達よりも早い段階で身体を大きくし、卵も早く産み始めるに至った。この違いは、餌の種類や外遊び等の基本的環境を変えていないため、添加した特殊栄養素の影響が大きいと考えて良いだろう。

しかし、今回の試みにおいて、うっかり忘れていた栄養素があった。

#3へ続く



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