何かの部活のノリが好きなのか、トレーニングとは「イチッニッ!」のかけ声代わりにうめき声を発するものだと無意識に勘違いしちゃって、大したトレーニングでもないのに号令の如く1レップ目から呻き出す人がジムを見渡すと何人かいたりします。

「そりゃ、デカくならんわ〜」

MAX重量を計測する瞬間、あるいは高重量トレーニングで最後の1レップを捻り出す一寸、誰かがパッと補助に入ってくれた時の想定外のフォーストレップ、このような時に思わず口の端から声が漏れることはあるでしょう。

声を出すつもりが全くなくても、思わず出てしまうのが楽しいのであって、のっけからアンアンと演技されたら、俺は一体何をしているのだろう?金を払った上に木偶相手にチャランボの練習をしているようだと、リアリティを欠いた大げさな演技に折角のパンプも萎えてしまうものです。



さて、大河原ガンダムリアルタイプカラー程度のリアル志向のマスターでも、意図せずに1レップ目から声が漏れてしまう種目があります。

「おいおぃ、何か体育会系みたいやん!でも重量ショボイから、汗だくではーはー言ってるわりに仕事遅い『頑張るマン』と変らんやんけ」

関西人なら誰もがたしなむセルフ突っ込みを入れながらレップを継続します。



少々引っ張りましたが、仏頂面の能面ポーカーフェイス野郎も呻いてしまう種目、それはハイクリーンです。

床からバーベルを胸の高さまで一気に「クルん♪」と持ち上げる種目で、バーベルの移動距離がある上、低姿勢から直立まで姿勢の変化が加わる為、全身の連動性を高める種目としてメージャーです。

ウエイトトレニングで培った筋力と筋量を実際の動きへとフィードバックさせるためのコーディネーションと考えてもよいですし、見た目のイメージ通りに身体のバネを強化する種目と捉えて励んでも良いでしょう。



兎も角、ウエイトを行っているものならば、「見た目だけ」、「使えない筋肉」コンプレックスを少なからず持っているかも知れませんが、ハイクリーンはそのような不安を吹飛ばしてくれるでしょう。

ただし、演技かゴッコでもしているかのように、1レップ目から声が出てしまうキツイ種目なのです。

そして、その「他では味わえない」全身に刻まれる深い筋肉痛は、無意識ながらも頭の何処かであなたを虜にし、なんだかんだ言いながらも結局は金を払ってでも、ヤリに行ってしまうようになるでしょう。



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