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総合格闘技はフィジカル勝負の時代に
~プロローグ~

え~初めまして…このたび当サイトでコラムを書かせて頂く事になりました総合格闘技道場コブラ会所属(※)の花澤大介13と申します。

コラムの内容は科学的な根拠はマスターにお任せして(笑)僕の方は感覚重視な内容で書かせて頂こうと思います。

※ 2010年現在は、沖縄「ワイルドシーサー」所属
13
最初に僕が取り組んでいる総合格闘技について細かいルール等の説明は省略しますが…自分なりに考える「勝利する為の条件」について。。。

まず勝つ為には自分の得意分野で戦う必要があります。

例えばキックボクサーと柔道家が戦った場合には立った状態での打撃ではキックボクサーの方が有利になりますが、組み合ったり寝技になった状態では柔道家の方が有利になるといった感じです。

古くから総合格闘技を観られている方なら初期のUFC(アルティメット・ファイティング・チャレンジ)でホイス・グレイシー選手が柔術の技を駆使して活躍していた事をご存知の方も多いと思います。



僕が総合格闘技を始めた頃はホイス選手の体格が少なくともアスリートとして優れているように見えなかった事もあってか…総合格闘技で勝つ為にはいかに柔術の技術を取り入れていくかが重要視されており、フィジカル面はあまり重要視されていなかったように感じていました。

当時はクロスガード(倒されて下になった状態)からの腕十字や三角締めは限られた人間にしか出来ない高度な技術で、試合でホイス選手と対戦するほとんどの選手は初めて仕掛けられる技に対応出来ずに筋力や体格に関係なく関節技や絞め技を極められて負けていました。

しかし、クロスガードからの腕十字や三角締めも総合格闘技の草創期には最先端の技術でしたが…今では柔術に取り組んでいる人間なら誰もが当たり前のように使える技術になりました。

コブラ会の道場でも柔術に取り組んでいる道場生なら誰もが当たり前のように使います。

当然、柔術に取り組んでいるほとんどの人間が防御方法も理解しています。



また一昔前なら組み技系の選手で打撃に対して全く免疫がなく凄いやられ方をする選手も多く居ましたが…現在では少なくともプロで試合をする選手のほとんどが最低限の打撃の技術を身に付けています。

現在では技術的な進歩もありフィジカル面での差が勝敗を分ける事を大体の選手が理解しておりウェイトトレーニングやサーキットトレーニングに取り組む選手が一昔前に比べるとかなり多くなってきました。



また一昔前なら「知らないから」「出来ないから」といった部分で勝敗が決まる事が多かったと思いますが、現在では「スペシャルが決まって!!」「特別強い分野で戦ったから!!」といった部分で勝敗が決まる事が多くなったと思います。

まぁ僕ごときが随分と偉そうに語らせて頂きましたが…(汗)

じゃあどうすれば「スペシャル!!」や「特別強い分野!!」を身に付ける事が出来るかというと…やはりそこには「絶対的な練習量」が必要になってきます。

競技に関係なく超一流と言われるアスリートのほとんどが想像を絶するようなハードな練習をこなしています。

それは並のアスリートが同じ練習をしようとすると極度のオーバーワークに陥り体を壊してしまうような内容だと思います。

何故そこまでの練習をするのでしょうか?



例えば腕十字や三角締めの打ち込みを毎日100回行っている選手と200回行っている選手では当然200回行っている選手の方が技の精度が高くなるのは当然だと思います。
またスパーリングにしても気持ちを入れて多くこなしている選手は危険を察知する能力や攻めどころを察知する能力も当然高くなります。

根性論になってしまうかもしれませんが…プロで勝つ為には絶対に必要な練習量というのは当然あると思います。

極論になるかもしれませんが…その練習量をこなせない選手はその時点で振るいにかけられていると思います。

更に上のレベルを目指すには当然そのレベルでの絶対に必要な練習量がある筈です。



特に覚える事の多い総合格闘技の競技では格闘技センスやフィジカル面での先天的な要素はもちろん必要ですが…練習で身に付けた技術や試合での経験といった後天的な要素も勝つ為にはかなり重要になってきます。

そういった事から最大筋力、筋持久力、柔軟性といった運動神経の部分だけでなく、いかにハードな練習に長く耐える事が出来る「頑丈な体」を作って行く事も必要になってくると思います。

さらにフィジカル面で勝負を分ける重要な要素としてスタミナ(心肺機能・筋持久力ともに)があげられます。



よく「精神は肉体を凌駕する」と言いますが…それは嘘です。

どれだけ負けたくないという気持ちが強くてもスタミナが切れると心は折れます。スタミナが切れるとベンチプレスで200kg挙げれる筋力も、優れたグラップリング(組み技)技術も、切れ味&破壊力抜群の打撃もほとんど発揮する事が出来ずに時間が過ぎるのを待つだけになります。

また「スタミナを消耗しないような戦い方が必要だ」という言葉もよく聞きますが…それはスタミナが無いのに辛い練習が出来ない人間の逃げる為の口実です。

相手の実力が自分より大きく劣っている場合にはそれも可能だと思いますが…実力が均衡した相手がなりふり構わず攻めて来た場合に「スタミナを消耗しないように」などは机上の空論でしかありません。

結局は勝つ為にはスタミナを身に付ける事が絶対に必要になります。



まぁかなり偉そうな事を語らせて頂きましたが…

僕自身も今まで多く怪我をして来ましたし、スタミナが最後まで持たずに負けてしまった事もありますし、決して「誰にも負けないくらいの練習をしている!!」と胸を張って言えるだけの練習をこなしている訳でもありません。

もちろん現状の自分のフィジカル面や技術面に関しても全然満足していません。

ただ…「少しでも理想形に近づきたい!!」という気持ちは強くあります。

その為にそれなりの努力もしてるつもりですし、創意工夫もしてるつもりです。

次回は僕が「理想のファイター」に近づく為にどのようなトレーニングをして、どのような食事をして、どのようなサプリメントを摂取しているかをご紹介させて頂ければと思います。

#2「総合格闘技のためのウエイトトレーニング」へ続く



【関連】
シリーズ「本日の13さん(花澤選手)
オフラインコンテンツ・バックナンバー

【格闘技選手コラム】
「総合格闘技道場コブラ会」所属 花澤大介13選手
「総合格闘技はフィジカル勝負の時代に」

13-1「プロローグ編
13-2「ウエイトトレーニング編
13-3「アメリカ武者修行編
13-4「番外編:総合格闘技で喧嘩が強くなるか?」
13-5「とにかくスタミナが必要:スタミナトレーニング編
13-6「自重を使った補強トレーニングの重要性
13-7「前日計量の競技に適した減量編(13流)
13-8「過酷な減量での失敗…そして次回の課題編
13-9「食生活について
13-10「精神力について
13-11「13流計量術
13-12「怪我をした時の対応能力について
13-13「引退と競技に対してのモチベーションについて
13-14「走り込みの重要性について
13-15「オーバーワークについて・プロローグ編
13-16「オーバーワークについて・試合を終えて
13-17「13の試合直前の日記
13-18「タイトルマッチを終えて編
13-19「名古屋修行編・プロローグ
13-20「名古屋修行時代編・これからはクロールの時代
13-21「名古屋修行時代編・足回りの強化
13-22「名古屋修行時代・姿勢を維持する
13-23「肉体の仕様変更
13-24「今日は2月8日…沖縄での入院生活日記
13-25「手術の直後こそ筋肉に刺激を?」
13-26「変革には痛みが伴う
13-27「他競技に学べ
13-28「格闘技を続けていく理由
13-29「試合前の減量&リバウンドについて 2010年版
13-30「今回の試合前の調整法
13-31「推進力はどこから得るのか
13-32「ネガティブシンキングというメンタルコンディショニング
13-33「今回の試合前の調整法
13-34「二度目のタイトルマッチを控えて
13-35「永遠のチャレンジャー
13-36「ショートコラム集
13-37「練習内容をよりリアルに
13-38「最近のマイブーム
13-39「抗うトレーニングとスピードトレーニングの関係
13-40「シーズン2-プロローグ編
13-41「インターバル中も鍛錬が必要
13-42「ロードバイクの魅力について

14-1「番外編:柔術で強くなるには? 前編
14-2「番外編:柔術で強くなるには? 後編



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「極真カラテで強くなるには?」

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