「まとめ 後編」

本当に、筋分解を抑制する事に尽力すれば、筋量が増えるのだろうか?
そんなにも、筋分解抑制が重要な要素なのか?

スイッチを押さずに、訝る方もいるかも知れない。

そんな人のために、最後に興味深い話を二つ挙げてみよう。

「ホエイ VS カゼイン」という古典
あまりに有名な実験なので、詳細は割愛するが、同量のホエイ摂取グループと同量のカゼイン摂取グループを比較した結果、筋量増加においてカゼイン摂取グループに軍配が挙がった。

一般的に吸収の速いホエイは、急激に血中アミノ酸濃度を高めることで短時間の間に筋合成を高める作用が強く、逆に吸収がかなり遅いカゼインは、ゆっくりと血中にアミノ酸を放出することで長時間筋分解を抑える作用が強いと信じられている(※)。

つまり、この実験結果によって、一時的に筋合成が昂進するよりも、長時間筋分解が抑制される方が、筋量アップにプラスになるだろうと言う理論が成り立ったのだ。

また、同量のカゼイン摂取グループと、同量のホエイを小分け(確か20分おきだっけ?)に摂取したグループの比較では、ごく少量のホエイをペチペチ摂取したグループに筋量増加において軍配が挙がった実験結果からも、血中アミノ酸濃度を保つことで筋分解を抑制する方法が優れている事がわかった。



「古いタイプのアナボリックステロイドの効果」
昔の合成アナボリックステロイドは、そのアナボリズムを高める作用よりも、コルチゾールを抑え込んでカタボリズムを劇的に抑制する作用によって、筋量を増やす効果があると言われている。

つまり、アナボリックステロイドの醍醐味は、アナボリズムを高める事ではなく、筋分解による筋肉の喪失をシャットアウトする事にあるそうだ。

もちろん、現在のテストステロンの何十倍のアナボリック作用を持つものや体内持続率が長い物の作用の要とは違うだろうが、薬物使用下の体内環境においても筋分解抑制が重要なポイントになっている事は間違いないだろう。



これら2つの古典で既に十二分に証明されているように、筋分解抑制と言うゲームをほぼパーフェクトにクリアできればゲインは可能であり、それがナチュラルフィットネスにおいて、最も最短、あるいは体質によっては唯一のゲインへの道なのである。

おちまぃ。


※ ホエイ&カゼインの実験は、胃の容積及び胃酸、タンパク質分解酵素が優れたコーカソイド等が主体の結果なので、それらと腸管の長さすら違う平均的日本人にとって、ホエイが優れているか、カゼインが優れているかは、さしたる問題ではない。何故なら、どちらの消化も苦手な人も多くいれば、どちらかが体質的に受け付けない人も多いからだ。そして、21世紀の現在において、筋合成促進と筋分解抑制の主役は、プロテインではない事は、サプリ塾塾生なら履修済みであろう。

実践編へ続く



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