前回のおさらい
腸内細菌叢のバランスは、栄養吸収や免疫力、はてはアレルギーまで、我々宿主の健康や身体作りに影響を与える。フィットネスに励むならば、是非とも腸内細菌叢のバランスを改善し、健康な身体作りに役立てたいものである。

プロバイオティックは、腸内有用細菌を増やす事で腸内細菌叢のバランスを改善する有益菌である。また、プレバイオティックと呼ばれる難消化性の食物繊維は、腸内有益菌のエサとなる事で、有用菌を増やし腸内細菌叢の改善に役立つと言われる。

さて、これら腸内改善作用があると言われる食品やサプリメントを試した方も多い事だろう。例えば、乳酸菌飲料やオリゴ糖などがそれである。

しかし、果たして意図したような効果や体感が得られただろうか?もしも、得られたのならそれは幸運である。

多くの健康法同様に、これらの物質の摂取は、体感があまりない事が多い。それは、以下の問題の影響であろう。
1、仮にプロバイオティクスが腸まで無事に届いても、増殖のためには、エサが必要。
2、プレバイオティクスを摂取しても、常在悪玉菌もそれをエサとするので、必ずしも常在有益菌が増えるとは限らない。

これらの問題から、近年ではシンバイオティクスという考え方が普及してきた。

シンバイオティクスとは、プロバイオティクスとそのエサとなるプレバイオティクスをセットにして摂取しようと言う考えの基に、それら2つを組み合わせた物である。つまり、ラクトバシラス属やビフィドバクテリウム属などの有用菌、あるいは乳酸菌(生死問わず)などに、オリゴ糖や食物繊維を加えたものである。

実際に、多くの研究によって、シンバイオティクスは、プロバイオティクスやプレバイオティクスを単一で摂取した場合に比べて、遥かに高い腸内細菌叢改善効果が確認されている。

また、その腸内細菌叢バランス改善効果に付随するアレルギーの緩和や免疫力の増強も確認されている。

フィットネス志向のトレーニーにとって、各種栄養素の取り込みや利用率のみならず、免疫力強化やアレルギー緩和などの健康増進作用を持つシンバイオティクスは見逃せない第7の必須栄養素であり、一般の人々にもこれからのトレンドとなるであろう。

番外編へつづく



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